体を過剰防衛してしまう免疫を抑制する薬
Tリンパ球のCG図です。このTリンパ球の主な働きはウイルスを体から除いてくれます |
- 外用薬
- 内服薬
です。
副作用が少ない外用薬
プロトピック軟膏は濃度によって2種類あります |
ステロイド外用薬とプロトピック軟膏との違いは?
ともに、炎症を抑える薬です。大きな違いは、薬の皮膚からの吸収にあります。- ステロイド軟膏→正常の皮膚からも体の中に吸収されます。炎症が治まって止めると、炎症が再度出現します(リバウンド現象と呼んでいます)。
- プロトピック軟膏→正常の皮膚からは体の中に吸収されにくく、皮膚の炎症が治まると、吸収されません。リバウンド現象は起きない。
まだ研究段階の内服薬
「プロトピック」の内用薬である「プログラフ」と、「ネオーラル」の2種類があります。内用薬は主に、臓器移植のときに使用されます。内服薬は全身副作用のため、重症のアトピーでまだ研究段階です。ともにTリンパ球の機能を抑えます。
■主な副作用
- 易感染性(「いかんせんせい」と呼びます。感染症を起こしやすくなります)
- 腎障害(じんしょうがい)
- 多毛(たもう)
- 免疫を抑制するために癌など発生しやすい
など
免疫抑制薬は、最近使用されるようになった薬です。10年以上の使用経験がありませんので、医師と相談の上、きちんと使用しましょう。
免疫:本来、生物は、自己を守るために、異物の侵入を防ぐ手段を持っている。例えば、植物にも、害虫を近づけない芳香物質を出している。ヒトも、進化の過程で、様々な免疫を獲得した。大きく分けると、細胞性免疫(リンパ球や白血球が関与)と液性免疫(抗体が関与)に分かれる。
リンパ球:リンパ球には大きく、3種類に分かれる。抗体を産生するBリンパ球、細菌やウイルスに直接対抗したり免疫を調整するTリンパ球、癌などの細胞を殺すNK細胞に分かれる。液性免疫に関わるのがBリンパ球がメインで、細胞性免疫に関わるのがTリンパ球がメインである。
アトピーの治療シリーズ
【第1回】ステロイド
【第2回】食事療法
【第3回】スキンケア
【第4回】梅雨に向けてのダニ対策
【第5回】梅雨に向けてのカビ対策
【第6回】内服薬
【第7回】免疫抑制薬
<参考リンク先>
タクロリムス(おくすり110番)
プロトピック軟膏(0.1%)
(プログラフとプロトピック)アステラス製薬会社
ネオーラル(ノバルティスファーマ株式会社)