セラミドなら敏感肌でも使えます
皮膚の保湿成分には、皮膚の角化層の角質細胞中の保湿成分(いわゆる天然保湿成分)と、角質細胞と角質細胞の間の細胞間基質中の保湿成分があります。例えば、尿素は角質細胞中の天然保湿成分のひとつです。セラミドは、細胞間基質中の保湿成分の主成分です。セラミドに注目したのは、臨床現場で小児のアトピー性皮膚炎の治療に取り組んでいる臨床医です。保湿剤のうち医薬品になっているケラチナミンは皮膚の刺激性が強くて使えないし、ヒルロイドは出血を増す可能性があるので、掻き壊した部分には使えないし、何かよいものがないかと探していました。その後の研究で、健康人の角化層の成分との比較で、アトピー性皮膚炎の人の角化層では、細胞間基質中のセラミドの含有量が低下していることが判明しました。
もともとの皮膚の角化層に含まれている成分が低下しているなら、それを外から補えば治療効果が上がる可能性があると考えられ、研究が始まりました。さらに研究が進むと、アトピー性皮膚炎では、セラミドを作る酵素の活性が落ちているためにセラミドがうまく合成できないこともわかりました。
セラミドは、非常に肌が敏感なアトピー性皮膚炎の人でも使用できるので、いわゆる敏感肌の人でも安心して使うことができます。セラミド含有の保湿剤で薬局、薬店で購入できるものととしては、薬用AKマイルドローション(クリーム)、キュレルがあります。
なお、現在のところ、セラミド含有の保湿剤は医薬品になっていないので、健康保険を使って、外来診療で処方することができません。そのため、セラミド含有の保湿剤を病院内の売店で購入できるよう、一部の病院では外来患者のために便宜をはかっています。
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キュレル