RSウイルスが喘息を起こす?
RSウイルスで喘息になる可能性があります |
スウェーデンの報告では、3歳までにRSウイルスによる細気管支炎にかかると、7歳半までの喘息になる可能性が10倍以上になるといわれています(Sigursらの報告)。
RSウイルスに感染すると、気管支喘息になりやすくなってしまうのです。
RSウイルスとアトピーの関係
アトピーとRSウイルスの関係についての報告はないのですが、アレルギーを起こすRSウイルスには注意する必要があります。RSウイルス感染で風邪の症状が出てしまうと、風邪でアトピーが悪化する?で説明しましたように、アトピーが悪化してしまいます。RSウイルスの治療
現時点では、特効薬はありません。細気管支炎に対して、- 吸入(霧状の薬などを吸う)
- 酸素投与
- 咳や鼻水を抑える薬
- 呼吸困難が強い重症な例では人工呼吸器使用 など
私の勤務病院でも、昨年度(2005年11月から2006年3月まで)は70例以上のRSウイルス感染症を経験しました。以前のRSウイルス感染症の治療状況も論文発表(小児科臨床に掲載)しましたが、なかなかいい治療方法がありません。
抗ウイルス薬リバビリンの吸入療法が米国で使用されていますが、日本では認められていません。
シナジスという免疫グロブリンがRSウイルスの予防に使用されます。この薬は非常に高価なので、現在、低出生体重児(はやく生まれた赤ちゃん)や人工呼吸器を使った赤ちゃん、心臓に病気のある赤ちゃんで使用されています。このような赤ちゃんは、RSウイルスにかかると重症になりやすいので、予防的に使用されているのです。
これからの冬で流行するRSウイルスには十分注意する必要があります。RSウイルスに対しては、特効薬がないので、予防が一番です。風邪でアトピーが悪化する?で説明したように、十分な睡眠と栄養・うがい・手洗いをしましょう。
★豆知識 シナジス:抗RSウイルスヒト化モノクローナル抗体(遺伝子組み換え)。RSウイルスだけを中和する抗体。マウスの細胞を使用して精製。 リバビリン:抗ウイルス薬。日本ではC型肝炎にインターフェロンと併用で使用。ウイルスの遺伝子の成分に似ているために抗ウイルス作用を持つ。世界では、RSウイルス、インフルエンザウイルス、肝炎ウイルス、AIDSウイルスにも使用されている。 |
アトピーと病気シリーズ
【第1回】アトピーとインフルエンザ
【第2回】アトピーと嘔吐下痢
【第3回】アトピーと水虫
【第4回】プール熱・はやり目の原因は?
【第5回】風邪でアトピーが悪化する?
【第6回】RSウイルスはアレルギーを起こす
<参考リンク先>
小児気管支喘息(リウマチ・アレルギー情報センター)
細気管支炎(All About 子供の健康)
>RSウイルス(国立感染症研究所感染症情報センター )