山手線の内側の供給は、減少傾向に。再開発も一巡。竣工したマンションの中古価格は堅調だ。 |
都心5区の新築マンションの供給が大幅に減少
都心5区(千代田区・港区・新宿区・中央区・文京区)の供給戸数が減少に転じてきました。ケン不動産投資顧問が発行するKen Deta Press vol.23(2006年6月発行)によると、都心5区の新築マンションの供給戸数は、おおよそピークを過ぎ、2003年から2005年の供給動向(データ出典:不動産経済研究所)を見ても、■千代田区…1038戸→400戸→327戸(対前年供給戸数-18.3%)
■中央区 …1826戸→2369戸→2768戸(対前年供給戸数+16.8%)
■港区 …2812戸→4832戸→3280戸(対前年供給戸数-32.1%)
■新宿区 …2120戸→1312戸→696戸(対前年供給戸数-47.0%)
■渋谷区 …999戸→1076戸→568戸(対前年供給戸数-47.2%)
と、THE TOKYO TOWERSなどの大規模マンションの大量供給のあった中央区を除いて、供給戸数のピークが2003年ないしは、2004年に来ている事が分かります。中央区においても、今年は、供給戸数も減少に転じそうです。
そんな供給動向を反映して、物件の売れ行きも好調です。特に希少立地のタワーマンションは好調で、赤坂タワーレジデンス(サンウッド、東急不動産、竹中工務店 港区赤坂)は、2006年5月からのスタートで販売戸数425戸を7月に完売しました。3A地区といわれる青山・麻布・赤坂の一角でありながら溜池山王や赤坂まで5分圏でかつ高台ということもあり、億ションでありながら最終期55戸は、平均倍率10.3倍、最高倍率51倍で登録即日完売しています。
また、都心近接の割に価格の割安感がありDINKSやシングルに人気があった中央区界隈ですが、ここにきて供給数が減少し供給価格も大幅に上昇してきています。例えば、比較的住環境の良い人形町界隈では、坪単価180万円台まで下がっていた供給価格が、既に坪単価260万円台を超えてきています。
不動産ファンドの台頭で、賃貸マンションニーズが顕在化
代官山や渋谷などの好立地は、ファンド用の賃貸マンションになるケースが増えている。 |
もともと都心の賃貸マーケットは、個人が20戸前後クラスのものを小規模に行っていたものが中心。そこに、リーシング(客付け)やプロパティーマネジメント(管理・運営)のプロである不動産会社が高機能な分譲仕様に匹敵するマンションで参入し、大きなマーケットができ上がりました。実際の空室率も、ファンド系の取り扱い物件の指標では約3%で、一般のオーナー物件の指標は約8%と大きく差が出ています(松本氏)。また、都心の分譲マンション住戸は賃貸としても人気で、空室率も非常に低いようです。
2000年前後に供給された都心の新築マンションでは、賃貸時に利回りが10%を超えたものもあったようです。不動産も金融商品として認識された今、そうしたギャップが埋まる方向で進んだことで価格も上昇したとも言えるでしょう。
リート市場の拡大傾向が続いていることを踏まえると、限られた土地の中で当面は用地取得競争が激化しそうです。
また、国土交通省「住宅着工統計」によると2005年は、新宿区以外の4区で住宅の着工件数が減少に転じています。企業・個人のバランスシートの改善による土地放出が、減少傾向にあることも、用地上昇の一因と思われます。
次のページでは、賃貸の2007年問題を含めた今後の都心のマンション選びについて紹介します。