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化粧品自体の酸化防止には役立つけれど 塗るビタミンCの美白効果は疑問

今回は、塗るビタミンCの美白効果を考えてみましょう。ビタミンCは、多くの化粧品の構成成分です。塗ったビタミンCはメラニン産生細胞の場所まで浸透して美白効果を発揮できるでしょうか?

西園寺 克

執筆者:西園寺 克

医師 / 感染症・健康情報ガイド

ビタミンCは、多くの化粧品の構成成分になっています。そこで今回は、塗るビタミンCの美白効果を考えてみましょう。塗ったビタミンCは、日焼けのもとになるメラニン産生細胞の場所まで浸透し、美白効果を発揮できるでしょうか?ビタミンCを飲んだ場合の美白効果も考えてみましょう。

【メラニン産生細胞と美白の関係】

ヒトが作る主な色素は赤、黄、黒の三つです。赤は赤血球の持つヘモグロビン、黄はビリルビン(ヘモグロビンの代謝産物)、黒はメラニンです。外来性の色素としてはカロチンがあります、
皮膚の色はこの四つが混ざってできています。
高齢者では、これにメイラード反応による産生物の黄色~茶色が加わります。

黒い色素のメラニンは、神経系由来のメラニン産生細胞(メラノサイト)がアミノ酸のチロジンから作る色素です。
皮膚の黒さはメラノサイトの量と思われがちですが、メラニンの産生量、メラノサイトの活動性に関係します。ですから、人種によるメラノサイトの量に差はなく、メラニン産生量の差が皮膚の黒さ(白さ)に関係します。
美白はメラニン産生が低い皮膚ということになります。

【塗るビタミンCの浸透性は?】

物の性質には、親水性(水溶性)と親油性(脂溶性)があります。親水性の高い物質は脂質でできた膜、例えば細胞膜を通過する事ができません。
それでは、ビタミンCを皮膚を塗った場合を考えてみましょう。
ビタミンCは親水性です。しかし、皮膚の角質蛋白(ケラチン)は、親水性の物質を通しません。つまり、親水性のビタミンCは、親油性の物質を通す構造の皮膚の角化層をほとんど通過できないことになります。

美白のためには、ビタミンCは少なくとも表皮の基底細胞の所まで到達して、基底細胞に接して真皮(皮膚の細胞外マトリックス)にいるメラノサイトに働きかける必要があります。
しかし、化粧品中の通常のビタミンCはメラノサイトには到達できないので、美白効果は期待できません。

【ビタミンCの誘導体に期待しましょう】

ビタミンCはメラノサイトまで到達できませんが、一部、ビタミンCの誘導体で皮膚への透過性を増加させたと宣伝しているものがあります。
動物で実験しているのですが、ヒトの皮膚は角化層が厚いので、動物以外にヒトでの実験が必要です。

しかし、ヒトの皮膚への浸透を確認するには、放射性同位元素を用いてビタミンCの誘導体を作成することが必要です。次にその誘導体を皮膚に塗って、一定時間後に塗った部位の皮膚を切り取ります。その皮膚を写真乾板に載せると、放射性同位元素が放出した放射線が写真乾板を感光させます。

以上は実験系としては可能ですが、そのためには、放射性同位元素を使う点と皮膚の生検の点で、実験協力者から事前の同意を得なければなりません。

ヒトにおいて、メラニン産生細胞の所までに到達するかどうか現時点では確証がありません。とはいっても、理論的に透過性が高いのである程度の期待はできます。
ロート製薬で発売しているオバジCは、透過性を高めた形でビタミンCを配合してあります。

皮膚周期は28日あるので、効果の判定には4週間必要です。

次のページでは、メラニン産生の予防、飲んだビタミンC、化粧品中のビタミンCの役割について説明します。
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