花粉症とぎっくり腰の意外な関係
腰の筋肉にも負担の高いくしゃみ。つらい花粉症症状にあわせて、ぎっくり腰まで発症・再発してしまう方は少なくありません
花粉症の代表的な症状である、鼻水、くしゃみ。「鼻をかむ」「くしゃみをする」という行為は、実は腰にとても負担がかかるのです。以前からの腰痛が悪化してしまう例もあります。 花粉症の症状が出始めたら、突然腰を痛める「ぎっくり腰」にならないように注意が必要です。
花粉症症状が腰に負担をかけるわけ
花粉症に悩む方の中には、元々腰の調子が悪いという人もいるでしょう。そのような人は花粉症の時期にさらに腰への負担が悪化し、腰痛が改善しにくくなる事が考えられます。一時的なくしゃみや、風邪などのくしゃみよりも、長い期間に渡って多くの回数のくしゃみをすることになるため、その度に弱った腰がダメージを受けてしまうからです。くしゃみなどの症状がどう腰に影響するのかイメージしにくい方は、鼻を勢い良くかんだ時や、くしゃみの瞬間に、お腹に力が入るのを思い出してください。たいした力ではないように思われるかもしれませんが、くしゃみのパワーはすごいものです。瞬間的に腹筋が緊張し、腰部の筋肉もあわせて緊張することで、腰部には急激な負荷がかかります。腰を支える筋肉や椎間板へかかる負担も急激に上昇してしまいます。腰に負担のかかる姿勢でのくしゃみでは、なおさら腰痛の危険度が増します。
花粉症のくしゃみで椎間板ヘルニアやぎっくり腰に?
普段から椎間板に負担をかけた状態だった人は、くしゃみの瞬間に椎間板が飛び出してしまう「腰椎椎間板ヘルニア」になる可能性もあります。また運動不足などで、慢性的に背中や腰の筋肉の血行不良の状態があり、柔軟性が低下している人は、くしゃみと同時に、腰の筋肉をギクッ!と痛めてしまうかもしれません。花粉症のくしゃみは花粉の季節の間、継続して出続けるため、毎回くしゃみをしていくうちに、徐々に腰への負担が高まっていく可能性があります。ですから、1回目、2回目のくしゃみでは全く問題が無くても、3回目のくしゃみで、突如腰に激痛が走り床にしゃがみこんでしまうようなことがありうるのです。
まずは腰に疲労をためないように、同じ姿勢をとることをなるべく避け、夜は余裕があれば、早めに横になり筋肉を休ませましょう。
避けるべき腰への負担が大きい姿勢
姿勢を支えるために、筋肉はとても大きな役割を果たしています。ですが、腰を支える筋肉に無駄なエネルギーが使われてしまう「悪い姿勢」があります。例えば、いすに座り、前のめりになるような姿勢。そして、ついついやってしまいがちな、あぐらの姿勢。これらの姿勢は、腰を支えるための負担が大きくなるため、この姿勢で鼻をかんだり、くしゃみをしたりする行為は、ぎっくり腰になる危険性を高めると考えられます。日常でわりと普通にしている姿勢のため油断されがちですが、くしゃみをする時は、机に手をついて補助をし、腰を伸ばし過ぎないように注意しましょう。立っている時は、膝を軽くゆるめ、周りの物につかまり、腰への衝撃を和らげます。
ぎっくり腰対策に、普段から腰回りの筋肉をほぐすケアを
くしゃみが出る時、鼻がムズムズする時間があれば、腰をいたわる体勢をとったり、くしゃみを止めたりすることができるかもしれません。しかし、構える時間が無いほどの突然のくしゃみは、大変危険です。普段からなるべく腰周りの筋肉は、ほぐしたり温めたりして、できるだけケアしておきましょう。■参考資料
くしゃみ時における腰部負担の分析(PDF)
- 長谷川哲也(国際医療福祉大学大学院 保健医療学専攻)
- 勝平純司(国際医療福祉大学 保健医療学部)
- 松平浩(関東労災病院 勤労者筋骨格系疾患研究センター)
- 岩切一幸(労働安全衛生総合研究所)
- 丸山仁司(国際医療福祉大学 保健医療学部)