不妊症/妊活・妊娠したい人のための生活のコツ

日本一出生率の高い島 取材記3日目!(2ページ目)

日本一出生率の高い島「多良間島」での取材記をお送り致します。

執筆者:池上 文尋

多良間島、出生率の高いワケ

インタビューを受けて頂いたのが保健師の狩野氏です。狩野さんは福岡のご出身でご主人と知り合ってこの島に来られたとのこと。美しい面立ちとはきはきとした口調が印象的な方です。お子さんも二人おられて、公私共に母子保健について詳しいといえます。
PCO
多良間空港の様子。島の規模から考えると立派な空港です。

色々と質問をさせて頂きました。その内容は下記の通りです。

Q)最初にお伺いしたいのですが、なぜ多良間島の出生率がこんなに高いのですか?

A)いくつか理由があるのですが、まずは子供を産む人の数の母数が少ないので安定して高い数字ではないことをご理解ください。高い数字が注目をされたのですが、その期間(平成10~14年)は色々な要因が重なりました。

一つは国際結婚が増えて、その時期に多くの方が妊娠出産されたことと島での出産も増えたと言うことからダブルで増える要因がありました。特に国際結婚をされたご家庭の男性は年齢の高い方が多いので結婚されたらすぐに子供を作るという傾向でした。

Q)でも沖縄地方は概して子供が多いですよね。多良間島も同じですか?

A)はい、確かに子沢山の家庭は多いです。子供が5人までだと驚かないですね。普通と言う感じ。多良間島の場合は最高8名の子供がいる家庭があります。
PCO
生垣のハイビスカス。南国情緒があります。

Q)その理由を教えてください。子沢山が良いという考えは要因の一つですか?

A)まずは子供が欲しいというマインドについてですが、実は沖縄出身と内地出身者で希望の数は違いますし、また男性と女性でもその希望数は違います。

多良間で子供が多い理由に避妊などのバースコントロールをきちんとしている人が少ないように思います。いやほとんどしていないと思います。もちろん中絶という選択も少ないわけで経済的に厳しいにもかかわらず、子供を産んでいる現状があるかと思います。ここでは「産まない選択」を持つことが難しいのです。

だから多良間では年子というのも多いのです。母体のことを考えればやはり2~3年は間を空けたいところですが。よって多良間の妊婦は全員ハイリスク妊婦として現在、産婦人科巡回による妊婦検診(島内)と出産時には県立宮古病院のベッドを確保して頂いています。

Q)夜の娯楽とかあまりないのでSEXの数は多いのではないですか?

A)はい、そう思います。調査したわけではないのでよくわかりませんが。

Q)多良間や宮古島でも不妊治療はされていますか?

A)はい、ただこういう環境なので不妊ということは不名誉です。よってこっそりと治療に行っている人が多いと思います。
PCO
散歩の時に見かけた木。不思議な形です。

Q)多良間での妊娠例で最も高年齢はいくつですか?

A)42歳ですね。その方は自然妊娠でした。

Q)お産は宮古島なんですね。

A)はい、旅費は自己負担で行きます。個人病院に行く方と宮古病院を使われる方とおられます。

Q)ところで子供にとって多良間は過ごしやすいところなのでしょうか?

A)はい、島の人はほとんど知り合いですし、島の中は安全ですから過ごしやすいと思います。子供だけではなく社会的な弱者が住みやすい環境だと思います。ただ子供を育てるのに学童保育はないので、近所の人や祖父母で面倒を見てくれる人がいないとつらいですね。

子供はご存知の通り高校からは宮古島や那覇に行くので若者は島の外へ行く傾向にあります。優秀で競争に勝っていける人は島に戻ってこないですね。もともと多良間は3000人ぐらい住む島でしたが今は1300名程度にまで減っています。
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