疲労回復法/効果的な疲労回復法

クールダウンで疲労物質の乳酸濃度低下を!

乳酸は、運動時にできる疲労物質の一つです。この乳酸が筋肉中に残ると疲労の源となります。クールダウンには、乳酸の除去を促進することにより、運動後の疲労回復を速める効果があります。

西園寺 克

西園寺 克

医師 / 感染症・健康情報 ガイド

臨床検査の中で臨床細菌学、臨床薬理学、臨床免疫学を専攻しました。医学に関する幅広い知識をベースに、医学情報の洪水が起こっているインターネットの中で、正しい情報を提供する、ノアの箱船的なサイトを運営していきたいと思っています。

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運動前には、関節の動きをよくするために準備運動やウォームアップをする人が多数います。怪我の予防効果もありますね。

反面、アマチュアのスポーツ愛好家には、クールダウンの重要性に対する認識が不足しています。クールダウンを行わない人が多いようなのです。クールダウンには、運動時にできる疲労物質の一つである筋肉中の乳酸の除去を促進する効果があり、疲労回復を速めることができるのでおすすめしたいと思います。

【乳酸は筋肉のエネルギー代謝に関係する疲労物質】

疲労物質とは、運動後に血中で増加して、肉体疲労と関係ある物質の総称です。筋肉がこわれて血中濃度が上がるものと、運動時の筋肉のエネルギー代謝に関係するものがあります。後者の代表が乳酸です。

【乳酸を作るのは筋肉】

血液中の乳酸の主な源は筋肉です。乳酸はブドウ糖を分解してエネルギーを作る時に筋肉中でできます。
筋肉内でブドウ糖は分解するとピルビン酸という物質になります。この後、酸素が十分に利用できた場合は、ピルビン酸からは乳酸とは別の物質になります。
一方、酸素が十分に利用できないとピルビン酸から乳酸になります。

乳酸からはエネルギーを作ることができないので、できた乳酸は筋肉内から血中に流れ出します。筋肉でブドウ糖からできた乳酸は、肝臓でブドウ糖に変化します。肝臓が血中にブドウ糖を放出して、再度エネルギー源として使用します。
筋肉中に乳酸が残ると疲労感が残ります。クールダウンには、乳酸の筋肉から血中への流出を促進する効果があります。

【血中乳酸値は運動トレーニングの強度の指標】

筋肉中の乳酸濃度が一定の値を越えると筋肉は収縮することができなくなります。マラソンや駅伝で急に走者が走ることができなくなった時は、関節や腱の痛みに加えて、この筋肉内の乳酸の上昇が関係しています。
また、血中の乳酸値は、筋肉内の乳酸の蓄積を反映するので、運動トレーニングの強度の指標として用いることができます。
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