肺がん4.5倍、食道がん2.2倍、喉頭がん32.5倍…タバコとがんリスクの大きな関係

喫煙

喫煙で影響を受けるのは肺の健康だけ?……実は肺がん以外の様々な臓器のがんリスクが高まるのです


「タバコは肺がんの原因になる」といった注意書きを、タバコのパッケージでも目にします。しかし、タバコでリスクが高まるのは肺がんだけではありません。意外にまだ十分には知られていないようですが、タバコはその他色々ながんの原因になるのです。

禁煙教室にいらっしゃった膀胱がん手術後の患者さんが、「膀胱がんとタバコに関係があるなんて知らなかった。知っていたら、タバコは止めていたかも知れない」とおっしゃったことがあります。

国立がんセンター疫学部長であった故平山雄さんの報告によると、タバコを吸うことによって、肺がんは4.5倍、食道がんは2.2倍、喉頭がんにいたっては、なんと32.5倍にまで危険性がアップします。また、タバコの煙とは直接関係がなさそうな肝臓、膀胱、子宮のがんについても、それぞれ3.1~1.6倍という確率でかかりやすくなってしまいます。そのほか、日本人に多い胃がんや大腸がんも喫煙しているとかかりやすくなることがわかっています。

がんになる患者さんが年々増えている日本は、残念ながら先進諸国の中でも比較的喫煙率が高い国です。多くの喫煙者にとって、禁煙はがん予防の第一歩になるとも言えるのです。

今回は、禁煙を成功させる3つのポイントについてご説明します。
 

「タバコは健康に悪い」だけでは禁煙できない

私たちが、何か新しいことに挑戦しようと言うときには、その理由が大切です。禁煙も同じです。「医者に強くすすめられたから」「家族がやめろというから」と言う理由だけでは、なかなかうまくいきません。

タバコでがんになると言われれば、誰でも怖いはずですし、「人は恐怖によって動く」と言う言葉もあります。しかし、私が言うのもなんですが、恐怖をあおるような禁煙プロモーションだけでは不十分なようです。成熟した大人にとっては、恐怖心だけで素直に行動を変えるには至らないことが多いと感じます。

そのため、私ははじめの第一歩として、その人自身の中で禁煙の理由を明らかにし、それを紙の上に書き出していくという作業をすることをお勧めしています。その際には、できるだけ、ポジティブに、楽しみや得られる幸せをイメージできるような言葉を用いるとイメージがふくらみやすいと思います。

「たばこを止める」のではなく、「もういちど、たばこのない生活を始める」といった気持ちで、楽しみながら書き出していくのが良いでしょう。単に考えるだけではダメですよ。ぜひ、紙に書いて見て下さい。きっと新しい発見があると思います。

では、禁煙のコツについて、大切な2つのポイントお話ししましょう。
 

禁煙成功の第一歩! 気持ちを高めるために「禁煙開始日」を決める

意外と設定する人は少ないのですが、禁煙開始日を決めてしまうこともコツの一つです。自分や家族の誕生日などでもよいでしょう。娘さんの結婚式には、タバコを吸わない状態で出席すると言う目標から、逆算してみるのも良いかも知れません。

また、自分自身が禁煙にチャレンジすること、そして、禁煙を実行に移す日を、家族や職場の人々に宣言することも良いでしょう。いずれにしても、あなた自身も、そして、周囲の人々も幸せになるのが禁煙だということを胸に、カレンダーに印をつけて、その日まで、徐々に、気持ちを盛り上げていくことも効果的です。

 

禁煙失敗を避ける! 自分がタバコを吸いたくなるときのパターンを知る

もう一つのコツは、あなた自身の行動パターンを把握することです。今までの自分の喫煙行動を振り返ってみると、たばこを吸うのにはいくつかのパターンがあることに気が付かれると思います。

たとえば、食後にいつも吸う、ストレスを感じた時に吸う、考え事をするときに吸うなど、日常の様々な場面で、たばこを手にしていることがあります。これらの行動パターンを把握し、実際に、自分で吸いたくなったときには、たとえば熱いお茶を飲む、ストレッチをしてみるなどの対策を考えておくことも重要です。

また、お酒の席で吸っていることが多い場合には、禁煙開始後、しばらくは、そういうところに顔を出さなくてすむようなスケジュールを組んでおくと良いでしょう。せっかく決断した禁煙を長続きさせるために、しっかりと段取りを組みましょう。

最後に、「もう何十年も吸っているから、今さら禁煙したって無駄だよ」とおっしゃる方に。タバコが健康に及ぼす様々な危険性は、禁煙して5年で半減、10年で非喫煙者と同等レベルまで下がってくると報告されています。人生80年時代。何事もそうですが、禁煙も遅すぎて無駄ということはありません。がんを予防し、健康で楽しい人生を送るために、「タバコのない新しい生活」を始めてみませんか?
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