ストレス/ストレス発散・解消法

知っておくとためになる園芸療法のなるほど話 ガーデニングが心にやさしい理由

木々には若葉がいっぱい!外でのガーデニングや後楽が楽しい季節になりました。今回は、ガーデニングの癒し効果や園芸療法など、ちょっとためになるお話をひとつ。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド


ワールドワイドな「園芸療法」事情

5月は広葉樹の木々にも緑が戻り、萌えいずる若葉の生命力をみているだけでも、気持ちがリフレッシュし、すがすがしい気持ちになりますよね。

梅雨が始まるまでのこの季節は、一年のうちでも最も過ごしやすい頃。野へ山へと繰り出したり、庭やベランダの木々の手入れをしたりと、緑と触れあう楽しみを満喫されている方も多いと思います。

イギリスやアメリカでは、ガーデニングが心身によい影響を与えるということが以前から注目されていました。日本でも「園芸療法」として紹介されており、老人ホームや精神疾患患者や身体障害者を収容する施設などを中心に、ガーデニングが積極的に行われています。

ここで、これらの国々での園芸療法についてかんたんに紹介しましょう。

イギリス---「園芸療法」という言葉を越えた国民的娯楽

ガーデニングの国としても有名なイギリスでは、庭いじりは国民的な娯楽。小さなアパートの中庭でも、個性的なデザインでガーデニングを楽しみ、自然と触れ合う機会を大切にしてきました。

イギリスのガーデニングの歴史は古く、1699年に発行された「イングリッシュ・ガーデナー」という定期刊行物のなかでもガーデニングと健康との関連についてふれられています。また18世紀前半には、精神疾患患者を収容する施設で患者に土いじりをさせて自然の癒しの力でリハビリを行う活動が盛んだったといわれていますが、化学療法の進歩とともに、しだいに忘れ去られていったそうです。

その後、20世紀半ばになってガーデニングは改めて作業療法としてリハビリなどの一環に組み込まれるようになり、関心が高まるようになります。

イギリスでは、ガーデニングはもともと国民的娯楽としての認識が高いため、「園芸療法」という概念からではなく、より自然に福祉や医療などの分野に溶け込み、受け入れられてきた特長があるように思えます。

みなさんは、『グリーンフィンガーズ』という映画をご存知でしょうか? この国の人々のガーデニングへの愛情を見事に捉えた映画です。無気力・無感動に陥っていた囚人が、あるきっかけで荒地に投げ捨てた種が花咲かせたのを見つけ、他の囚人たちとともにガーデニングに取り組みはじめるというストーリーです。彼らはついにはイギリスでも最大規模の花と庭園の祭典「ハンプトン・コート・フラワーショー」に出場するまで物語は展開します。この映画は実際にあったことをモデルにつくられたそうです。

このストーリーが興味深いのは、“ガーデニングが彼らを更正させた”という事実を受け止めつつも、実に淡々ともくもくとガーデニングに取り組んでいること。肩肘張らずに、自然と付き合ってきたイギリス人ならではの特徴をよく表していると思います。

アメリカと日本ではどうなの?&
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