インド仏典にも記されるビワの薬効
ビワは、楽器の琵琶にその形が似ていることから名付けられました。 |
ビワの実は、漢方や民間療法では、疲労回復に、また口、肺や気管支の乾きを潤して、咳止めのクスリとして利用されてきたそうですが、実よりも葉や種などの方が用途は多かったようです。
では葉には、どのような成分が含まれているのでしょうか? ビワの葉にサポニンやタンニン、ビタミンB1、ビタミンCなども含まれています。
漢方や民間療法では、ビワの葉は、殺菌力があるとされ、葉を煮詰めた汁をアトピー性湿疹や、あせも、水虫などにぬったり、入浴剤として利用したり、あるいは葉を直接湿布などに利用されています。
近年は、産官学による研究でもビワの葉や、その抽出物が、動物実験レベルで血糖値の上昇を抑えたり、中性脂肪やコレステロールの低下作用が認めらたことから、生活習慣病予防などにも役立つ食品の開発も進んでいます。
アミグダリンには注意が必要
現在もビワの葉の健康食品などが数多く出回っていますが、特別な効果を期待して、常識を超えて大量に摂取したりするのは避けましょう。例えば、ビワの葉や種(ウメやカリンなどにも)には、「アミグダリン」が含まれています。「アミグダリン」は、胃腸で分解されると青酸が発生され、大量に摂りすぎると中毒症状がでるのです。食品として常識的に食べる分には心配はないのですが、濃縮した健康食品などを利用する場合は、「安全性」や、用法用量の指示があるかなどをチェックするなど、注意が必要だと思います。
またアミグダリンは、「ビタミン17」という表現をされたりするのですが、「ビタミン」とつくのは、生命活動を営むためには必須の栄養素ということであり、欠乏しても問題はないので、ビタミンとは言えません。
私も最近知りましたが、以前はよく「ガン治療に注目されている成分」とされていたのですが、米国国立癌研究所ではその効果はないと指摘されるなど、わからない部分があるようです。
では、漢方や民間療法では、どうしてビワの葉をよく用いられたのでしょうか。アミグダリンを含む果実は、未熟な時には食べると青酸中毒の危険性はありますが、完熟にともない毒性は低くなります。常識的な量を食品として食べる分には問題なく、ですから熟したビワを食べたり、お茶を飲んでも、中毒にはならないのです。また漬け物やお酒にしても、その過程で毒性は消えていきます。
またアミグタリンは漢方の生薬として、またかゆめみ止めなどに使われることもあるのですが、これは「毒を毒で制す」使い方もあり、若干量をうまく使うことで治療に役立つこともあるのです。つまり、使うタイミングや量の見極めが大切だということでしょう。私たち素人は、ビワをあくまでも一般的な食べ物やお茶、お酒として、旬の恵みをおいしくいただくのが基本ですね。
■ 参考
●「ビワ葉抽出物の糖尿病に対する効果」(東洋新薬)
●家事類のカロテノイド含有量における品目差(農林水産省農林水産技術会)
●「健康食品」の安全性・有効性情報(独立行政法人 国立健康・栄養研究所)
●薬膳(東京書籍)その他
■関連リンク
●ポリフェノールの仲間を知ろう!(食と健康)
●菜時記-旬の素材の魅力(食と健康)
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