大学生の就職活動/就職活動の選考対策

就職活動の面接対策

面接とは、面接官との会話を通して企業が求める力と熱意、価値観を測定する選考方法である。自己分析して企業が求める力を表現できるようにし、入社後働く姿が想像できるまで企業研究して熱意と価値観を伝えよう。

執筆者:見舘 好隆

<INDEX>
  1. 面接の種類・前日の準備など
  2. 君の「過去」への質問対処法
  3. 君の「現在」への質問対処法
  4. 君の「未来」への質問対処法
  5. その他の質問対処法

面接の種類・前日の準備など

しっかり準備をし健康を保ち、適度な緊張感を持って臨めば苦しむことはない。面接官は別に君を苦しめたいと思ってはいないのだから

しっかり準備をし健康を保ち、適度な緊張感を持って臨めば苦しむことはない。面接官は別に君を苦しめたいと思ってはいないのだから

面接とは、学生との会話を通して、書類や筆記試験などでは測定できない企業が求める力や熱意、価値観を測定する選考方法である。

面接は大まかに2つのタイプに分けられる。

1つはグループ面接。学生が複数(3名から5名程度)参加し、面接官(複数が多い)の質問に対して、面接官が指示する順番もしくは挙手制によって答える形式。序盤の面接に多く、後述する個人面接へ進む学生の絞り込みに用いられる。個人面接と違い、比較する学生が隣にいる以上、他の学生の発言も傾聴し発言がダブらないようにしつつ、グループの中で自らが一番になる意識で臨むことが肝要となる。なお、グループである以上、与えられる時間は少なく、回答を短時間にまとめる瞬発力が必要となる。

グループ面接で重要なポイントは、第一印象がすべてであることだ。入室の所作はもちろん、椅子に座る時の所作、最初の挨拶、さらに他の学生が発言している時の態度もチェックされ、その印象がそのまま評価に反映する。特に第一印象が大切になるので、第一声に気合を入れていこう。そして退出するまで終始笑顔で、大きな声で、元気よく気を抜かずに行こう。

もう1つは個人面接。1人の学生が、1人もしくは複数の面接官と会話する形式。グループ面接と違い、じっくり会話をすることで企業が求める力のレベルと、熱意、仕事への価値観などが測定される。特に企業が求める力を測定する面接をコンピテンシー面接と呼び、最近多用されている。コンピテンシー面接の手順は、最初に「学生時代最も力を入れたこと」など質問し、その過去の具体的行動を根掘り葉掘り聴くことで、その学生のコンピテンシー(企業が求める力)を抽出し、入社後の行動を予測している。

個人面接で重要なポイントは、あくまでも面接官との会話が成立しなければならない点だ。笑顔はもちろん、うなずいたり質問を復唱したりなど、初対面であっても気さくに会話ができることを示さなくてはならない。なお、一般的に後半の面接は個人面接になることが多い。

次に面接の準備について述べる。前述した通り、面接の目的は企業が求める力を測定することである。つまり、面接における質問にはすべて面接官の意図(企業が求める力はあるか?)があり、その意図を察しつつ(どの力を確認しているか?)、スピーディに簡潔に答えていかなくてはならない。よって、面接に臨む前には、企業研究を再度じっくり行い(志望動機対策)、同時に求める力を把握し求める力を示す過去のエピソードを整理しておくことが大切だ(自己PR対策)。

また、瞬発力が必要になる以上、体調管理もしっかり行いたい。前日には早く寝て、面接会場周辺の地図をプリントアウトして、30分前には現地に着き近くのカフェで心を落ち着かせるようにしよう。

君の「過去」への質問対処法

この手の質問は必ずある。棒読みにならないように、そしてエントリーシートとは違う切り口で話そう

この手の質問は必ずある。棒読みにならないように、そしてエントリーシートとは違う切り口で話そう

君の「過去」への質問の例を挙げる。
  • 学生時代にあなたが最も力を入れて取り組んだことと、そこから得られたことを挙げてください。
  • 今までに最も頑張った経験の中で自ら行動し、周囲と協働した経験について具体的に教えてください。
  • あなたを表す単語を挙げてください。
  • ご自身の経験をふまえて、あなたが考える成功と失敗の違いを教えてください。
  • 学生時代に最も力を注いだことは何ですか。そこで得たことを当社でどのように活かしたいですか。
  • これまで注力してきたことは何ですか。その際、工夫した・心がけたこと、またどのような成果を残したかという点を含めて具体的なエピソードを教えて下さい。
この質問は一言で言えば、自己PR。つまり、君の「企業が求める力」を測定する質問である。よって、すでに求人広告や会社説明会などで明示されている、求める力を身につけた過去の修羅場を乗り越えた具体的なエピソードを話すことで示せば良い。

君の「過去」への質問は、すべて君の「その企業が求める力」を測定するための質問なのだ。

君の「現在」への質問対処法

「内定出したら、ウチに本当に来るの?」「ちゃんと企業研究したの?」と聞いているのです。説明しましょう

「内定出したら、ウチに本当に来るの?」「ちゃんと企業研究したの?」と聞いているのです。説明しましょう

君の「現在」への質問の例を挙げる。
  • 数多くある会社の中で、当社を志望する理由を教えて下さい。
  • 就職先として会社を選ぶ際に重視していることは何ですか。その理由も含めて説明してください。
  • あなたが考える当社の仕事のイメージはどのようなものですか。また、当社の仕事に必要なものはどのようなものだと考えますか。
  • 当社への志望度および志望理由を教えてください。
この質問は一言で言えば、志望動機。つまり、特に君の熱意を測定する質問である。よって、企業研究の結果で示さなければならない。数ある企業の中で、貴社の強みのここに惹かれたから第一志望なのだと述べなくてはならない。決して「○○業界だから」「有名企業だから」「父がお世話になっているから」など、企業研究をほとんどしていないとばれてしまう志望動機では決して熱意は伝わらない。よって、深く会社案内やホームページを読み込み、会社説明会やOB・OG訪問、先輩訪問でのエピソードを加味して、作り上げなくてはならない。

君の「現在」への質問は、すべて君の「熱意」を測定するための質問なのだ。

君の「未来」への質問対処法

未来への質問は答えにくい。答えにくいからこそ、差がつく質問とも言える

未来への質問は答えにくい。答えにくいからこそ、差がつく質問とも言える

君の「未来」への質問の例を挙げる。

当社でやりたい仕事と、その理由を教えてください。
  • 入社後、あなたは当社のブランドの価値向上のために、どんなことに挑戦したいと考えていますか。
  • あなたが当社を舞台に実現したいことは何ですか。その理由も教えてください。
  • 当社が業務の対象とする多様な課題の中で、取り組んでみたいテーマは何ですか。そのテーマとご自身の専攻や、専攻に限らず関心を持って取り組まれてきたこととの関連を踏まえて、具体的に教えてください。
  • コンサルタントとして、どのようなことをしたいですか。コンサルタントを志望する理由を交えて、コンサルタントとしてやりたいことを教えてください。
この質問は一言で言えば、志望動機。特に君の「働く価値観」を測定する質問である。よって、すでに求人広告や会社説明会などで明示されている、経営理念に共感できることを伝えなくてはならない。貴社の経営理念に共感したから、迷いなく貴社で働けると述べなくてはならない。決して「この仕事をしたいから」だけでなく、その仕事を通して、何を社会に伝えていきたいのかを伝えなくてはならない。

君の「未来」への質問は、すべて君の「働く価値観」を測定するための質問なのだ。

その他の質問対処法

面接官は君にリラックスして欲しいのだ。ちなみにできる営業マンは、無駄話が得意である(ガイド友人談)

面接官は君にリラックスして欲しいのだ。ちなみにできる営業マンは、無駄話が得意である(ガイド友人談)

ここまで、君の「過去」「現在」「未来」への質問の例を挙げてきたが、この分類では当てはまらない質問も当然ある。この「その他の質問」には、序盤に頻出するものと、終盤に頻出するものがある。まず、序盤に頻出する質問の例を挙げる。
  • 昨日の晩御飯、何食べましたか?
  • 最近読んだ本は?
  • 緊張してますか?
  • 就職活動の調子はどうですか?
  • 朝のニュース、観ました?
この質問は一言で言えば、アイスブレイキング。つまり、本当の君を知るために面接官が配慮してくれた、会話のきっかけ作りである。面接の序盤は、とにかく場に馴染んだり場を作ったりすることから始めなくてはならない。面接官も最初は学生の緊張を解くために、話しやすい話題から始めてくれることが多い。面接官としてもずっと緊張されては困るからだ。できるだけ君の緊張を解いて、“素”の君を見極めたいからだ。面接の序盤の何気ない質問はすべて君の緊張を解く質問であり、その面接官の気持ちに応える会話を展開することが重要なのだ。

次に「その他の質問」のうち、終盤に頻出する質問の例を挙げる。
  • 最後に、何か伝えたいことはありますか?
  • 最後に、何か聞きたいことはありますか?
  • 最後に、この面接の感想をお聞かせ下さい。
  • 最後に、言い逃したことはありますか?
この質問は一言で言えば、熱意と人柄。つまり、次の面接に呼びたいと思えるかの最終確認である。面接官にぜひ「またこの学生と会いたい」「上司に会わせてみよう」と思ってもらえる終わり方をしなければならない。どうすれば好印象を残せるのか。それは君が普段大切な人に対して行っていることをするだけなのだ。例えば初めて出会う異性と別れる時、信頼する先輩と別れる時、自分を慕ってくれた後輩と別れる時、いつも心配りをしているはずだ。その自然な心がこもった表情や声、所作こそが君が面接にて好印象を残す大切なアクションなのだ。

特に最終面接(役員面接)は、すでにそれまでの面接で求める力の測定は終わっている。よって、見極められるのは熱意と人柄である。君が入社後輝く姿が想像できるかを最終確認していると考えればよい。言い換えれば、君自身がその企業で素の自分が輝いている姿を想像できるかにかかっているのだ。
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