一般産業平均と介護業界の給与を比較すると
一般産業平均の平均賃金は約30万円だが、調査対象者の7割近くが男性、8割以上が正社員で雇用されている |
では、介護業界の給与水準はなぜ低いのでしょうか。介護業界の給与水準が実際どうなのかを見る前に、一般労働者の平均賃金を見てみましょう※1。
一般労働者(平均年齢40.9歳、勤続11.6年)の男女合わせた平均賃金は29万9100円。これを男女別に見ると、男性33万3700円(平均41.7歳、勤続13.1年)、女性22万6100円(平均39.1歳、勤続8.6年)となっています。この調査対象者の男女比のデータは探しても見あたらなかったのですが、平均賃金から算出すると男性が約68%、女性が約32%となります。雇用形態は、男性の90.5%、女性の75.8%が正社員。ここから算出すると、男女合わせた全体の85.8%が正社員となります。
一方、介護業界ですが、介護労働者の所定内賃金は、
- 月給:21万6489円(実際に支払った賃金は23万5693円)
- 日給:8077円
- 時給:1121円
こうして比較してみると、気づくことがありませんか。
一般産業平均では、男女比が約7:3なのに対して、介護業界は約2:8と圧倒的に女性が多いのです。男性と女性の平均賃金は、一般産業平均でも11万円近い開きがあります。介護業界では女性が多く、しかも仕事内容に男女差が少ないため、女性の給与水準が適用され、平均賃金が低くなっていると言えます。保育士などもそうですが、女性中心で取り組まれてきた仕事に男性が進出していくと、給与水準は低いままに抑えられがちになるという問題があると思います。
また、雇用形態を見ても、一般産業平均では計算によれば男女合わせて85.8%が正社員。それに対して、介護業界では正社員は44.4%となっています。この正社員率の低さも、給与水準を引き下げる要因になっていると思います。そしてこれも、女性中心の業界であるからこそ起きてくる問題だといえると思います。
※1 「平成20年賃金構造基本統計調査(全国)結果」(平成21年3月・厚生労働省発表)より
※2 「平成20年度 事業所における介護労働実態調査結果」(2009年7月・介護労働安定センター発表)より