コンサルタントで働く/コンサルタントの仕事

コンサルタントのキャリアパス

コンサルタントはどのようにしてキャリアアップしていくのでしょうか?また、職位と年収にはどのような関係があるのでしょうか?コンサルタント会社のキャリアパス、キャリア制度、給与が決まる仕組みについて解説します。コンサルタントから経営者へのステップについても解説。

執筆者:大石 哲之

コンサルタントのキャリア制度


コンサルティング会社には4つのランクがある

コンサルティング会社には4つのランクがある


コンサルティング会社の社員は職種はコンサルタント職ですが、その経験年数やスキルに応じていくつかの職位(ランク)に区分されています。会社によって呼び方は違ってきますが、およそ次の4ランクに分かれます。

    ■コンサルタントの4つのランク
  • アナリスト:ビジネスアナリスト、アソシエイト、ジュニアコンサルタント
  • コンサルタント:アソシエイト、シニアアソシエイト、シニアコンサルタント
  • マネージャー:チーフコンサルタント、マネージングコンサルタント
  • パートナー:ディレクター、プリンシパル、ヴァイスプレジデント
コンサルタント会社のキャリア制度はシンプル。階級が少なくそれぞれの階級での役割などが明確に定義されているので、キャリア設計を描きやすいでしょう。最終的にパートナーという役員クラスの職位を目指して、キャリアパスを一段ずつ上がっていきます。

職位と給与との関係


職位によって決まるコンサルタントの給与

職位によって決まるコンサルタントの給与


職位は、各人のコンサルタントとしてのスキルや経験値を表します。職位は、本人や社内のみならずクライアント側から見ても重要なもの。クライアントに請求する時間当たりの金額が職位に連動して決められているからです。

アナリストの職位は時間当たりいくら、マネージャーの職位は時間当たり何万円という請求単価表が存在します。同じ職位であれば、同じ経験値のコンサルタントであるため、請求単価は一緒です。

一般企業の主任・係長・課長といったものが、その組織内における役割を表しているにすぎないのに対して、コンサルタント会社の職位は、請求単価・給与の根拠になる絶対的なランク付けなのです。

各職位の役割

コンサルタントはアナリストからスタートし、パートナーが最高位
コンサルタントはアナリストからスタートし、パートナーが最高位
コンサルティング会社では職位によって担うべき仕事や責任が明確に定義されています。4つのランクごとに解説します。

■アナリスト
アナリストの仕事内容は調査や分析が中心。上司の補助を受けながら、市場データの収集や分析、クライアントへのインタビュー、議事録の作成などを行います。業務・IT系のファームでは、業務実態の調査・ヒアリング、システム設計・プログラミングなども行います。

■コンサルタント
コンサルタント職位では、仮説を考え検証し資料に仕上げる一連の仕事を1人で完結できる能力が求められます。まとまった範囲の仕事を任され、コンサルティングプロジェクトの実作業の多くを中心になって実行します。いわば、現場リーダーという感じです。

■マネージャー
マネージャーは、コンサルティングプロジェクトの現場の責任者。プロジェクトの全体を管理し、決められた期間や予算の中で、クライアントの満足を得る成果を届けなくてはいけません。

そのため前の2つの職位とは違い「顧客への報告」「顧客との折衝」はもちろんのこと「プロジェクト予算やコンサルタントの管理」といった仕事も行います。プロジェクトの成功も失敗もマネージャーの力量により、非常に責任の重い職位。

■パートナー
パートナーの基本的な役割はプロジェクトの受注です。コンサルティング業は、経営層相手に高額かつ形の見えないものを提案するビジネス。その売り込みには卓越したスキルが必要で、経験豊富なパートナーがその役割を担います。

またパートナーは、コンサルティング会社の共同経営者であり、会社の方向性やブランド作り、人材採用まで、様々なことに関わります。

コンサルティング会社の評価制度

コンサルティング会社では、職位によって担うべき仕事や責任が明確に定義されているため、昇進の考えかたもシンプルです。1つランクが上の職位で期待される仕事や責任を全うできると周りが考えれば、その職位に昇進します。

アナリストからマネージャーまでは、純粋にコンサルタントとしての能力が評価基準になります。パートナーに昇進するためには、プロジェクトの受注がどれだけできたかというプロジェクト営業成績が合わせて問われます。

アップ・オア・アウト(Up or Out)について

「アップ・オア・アウト」というのは、コンサルティング会社特有のキャリア慣習です。各職位には想定される在籍期間というのがあります。例えば、新卒で入ったアナリストであれば、3年で次の職位に上がってもらう。MBAで中途入社した人は2年程度でマネージャーに昇進が期待される、といったもの。

その期間を過ぎても次の職位に期待されるスキルに至らない場合、適正を疑われ、ファームを辞めざる得なくなってしまうというのが「アップ・オア・アウト(昇進するか辞めるか)」というもの。

ただし、厳格なアップ・オア・アウトを実施しているファームは現在はほとんどありません。というのも、人間の成長にはバラつきがあるため、コンサルタントとしての成長カーブがどの時点でやってくるかは分かりません。大器晩成の人もいます。

期間内に昇進できない場合、元の職位と給与と役割を受け入れることを「ステイ(Stay)」といいます。要するに留年です。本人が許容できれば、アウトではなくステイで能力の開花を待つというアップ・オア・ステイの考え方が一般的。仕事の成果が落ちていると判断されれば、降格することもありえます。

コンサルタントをステップに経営者を目指す

経営者への登竜門とも言われるコンサルタント経験

経営者への登竜門とも言われるコンサルタント経験


「マッキンゼーマフィア」という言葉を知っていますか? コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーの出身者の多くが、著名企業の経営幹部に登用され活躍しています。彼らは横のつながりが強く、企業経営者がマッキンゼー出身者によって占められている様子を「マフィア」というユニークな表現でアメリカメディアが報じています。

最も有名なのは、IBMのルイス・ガースナー元会長。ガースナー元会長は、瀕死の危機にあったIBMを再生させ、その復活劇は、アメリカ産業界の伝説とまでいわれています。他にもアメリカンエキスプレスのハーベイ・ゴラブ、ロータス社を大成長させたジム・マンジーなどが有名。

マッキンゼーは代名詞になっていますが、他のコンサルティング会社も多くの経営者を輩出しています。アメリカでは、MBAやコンサルティング会社をステップにして、経営者を目指すコースが定着しています。

日本では、コンサルティング会社から大企業経営者に直接転職する事例はまだ少ないものの、幹部候補として重要なポジションで活躍し、若くして役員に抜擢されるなど、コンサルティングファーム出身者の活躍の幅は近年ますます増えています。

■主なコンサルティングファーム出身の経営者(2009年8月現在)


コンサルタントから広がるキャリア

コンサルティング会社の後のもう1つのキャリアが起業です。コンサルタント時代の経験を生かし、多くの人が自分で会社を興し、多くの会社が株式を上場させるまでに至っています。起業家以外にも、大学教授、議員など、幅広い業界でコンサルタント出身者が活躍しています。

■主なコンサルティングファーム出身の起業家(2009年8月現在)
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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