転職時の志望動機
新卒採用と違って仕事経験がある中途採用は、おのずと面接で聞かれる内容も違ってきます。一番の違いは、中途採用だと必ず職務経歴と志望動機(志望理由)を聞かれること。それだけ、中途採用を行っている採用企業の立場からすると気になる点なのです。そこで、採用担当者が知りたい理由とどのような書き方をしたらよいかを説明します。<目次>
- 転職時の志望動機・志望理由には会社理解と方向性が問われる
- 26歳までの人が伝えるべき志望動機・志望理由
- 30歳以上の人が伝えるべき志望動機・志望理由
- 未経験の業界・職種に挑戦する人が伝えるべき志望動機・志望理由
- 職種・会社・仕事の魅力をしっかり伝える
- 履歴書に記載してはいけない志望動機・理由の例文集
- 志望動機・志望理由を書くときの注意点
転職時の志望動機・志望理由には会社理解と方向性が問われる
外部から見た会社のイメージとその実情が大きくかけ離れていることはよくあり、採用担当者はそれを認識しています。そのため志望動機・志望理由から、その人が業界や会社、仕事内容などをキチンと理解しているか、またそれは今後の会社の方向性に沿っているかなどを見ています。また、応募者が、どれくらい会社に愛着を持って貢献してくれるかも判断しています。そこで不一致が生じると、その人が入社後にギャップを感じてすぐに退社したり、働いている間も仕事に対するモチベーションが下がるという事態も引き起こします。そこで自分は何をしたいかという具体的な意志を持っている人は、それを実行する可能性も高いため、採用担当者からの評価はよいでしょう。
26歳までの人が伝えるべき志望動機・志望理由
第二新卒といわれるこの年代は、異業界へチャレンジをする人が多いでしょう。異業界でも生かせる強みと、足りない部分はゼロからでも学んでいく意志を書いてください。業界紙やネットを活用して、業界の特徴や仕事内容を調べ、そのことにも触れます。30歳以上の人が伝えるべき志望動機・志望理由
「○○をしてみたい」という、自分の希望だけ書くのはNGです。これまでの経験で、どんな部分が次の職場で使えるのかを意識して書いてください。仕事の魅力を「単にやってみたい」とすることではなく、「何で自分が貢献できるのか」を書くことが必要です。未経験の業界・職種に挑戦する人が伝えるべき志望動機・志望理由
未経験の場合は、業界や職種の実情を知らないだけにイメージや先入観だけで志望動機・志望理由を書く方が多くいます。その場合、「こんなはずじゃなかった……」というお互いの不幸を招かないためにも、採用担当者は慎重に見極めています。ですから、会社や業界についてどれだけ理解しているか、理解するために自分でどれだけ調べているかを感じさせることによって、その意欲を理解してもらえるでしょう。職種・会社・仕事の魅力をしっかり伝える
志望動機・志望理由を書く際は、業界の魅力・会社の魅力・仕事の魅力を含んでください。それらを伝えることで、しっかりと根拠ある志望動機・志望理由であることを相手に意識づけることができます。1.業界の魅力について
「成長性」なのか「社会性」なのか、その業界にどんな魅力を感じたのか、興味を持ったポイントを書きます。まったく興味がないという場合でも採用される場合もあるのですが、それは職種専門性が高い人だけ。そうは言っても、どの会社の人も今の業界に愛着を感じているので、ホームページから魅力を感じ取ったり人材紹介会社のアドバイザーから話を聞いてみたりするといいでしょう。
2.会社の魅力について
志望する企業の魅力は経営理念なのか、会社が大切にしている価値観なのか、方向性なのか、共感できるところを書きます。企業のサービスを顧客として使ったことがある人は、その時の体験や感動を伝えると印象がよくなります。
3.仕事の魅力について
採用ページや求人票を見て仕事そのものの魅力ややりがいと感じると思われるところを書きます。具体的に明日から働くことをイメージして書くことが重要です。営業にしても、人事にしても、経理にしても、職種ごとに共通する魅力があるでしょう。業界が異なる場合でも、異なるからこそ挑戦してみたいという希望を伝えてください。
履歴書に記載してはいけない志望動機・理由の例文集
これまでガイドがカウンセリングしてきたなかで多かったNG事例を紹介します。1.福利厚生がよく、長く働けると思った
仕事は生活の基盤ですので、福利厚生はよいに越したことがないのは当然ですが、それが志望動機・志望理由となっているのでは、やる気に疑問を与えてしまいます。これでは、「会社を引っ張る! 」という気持ちよりも、「会社にぶらさがっていたい」という気持ちが大きい印象を与えます。
2.友人が働いていて、楽しそうだったので
「楽しそう」という志望動機・志望理由では、あまりにも感覚的で入社後の理想と現実のギャップが生じることが予想されますし、他人任せな点も人間としての信頼性を疑わられます。きっかけが友人であることは構いませんが、その後に自分でどれだけその会社のことを調べ、自分の頭で考え納得したのかという点を、最後まできちんと話してください。「きっかけは友人、でも根拠は自分」でなければならないのです。
2.人材紹介会社に紹介されたので
人材紹介会社を活用していると、「紹介会社に紹介された」ことを記載したり、面接で話してしまう人がいます。紹介会社が紹介をしたのはあくまでもきっかけ。そのきっかけから自分の考えで志望しているのでしょうから、志望の本質部分を回答してください。受ける会社が有名でなければ、企業もその点はわかっています。しかし、あからさまに紹介会社に紹介されたぐらいの志望動機・志望理由では採用はしないでしょう。おそらくあなたが採用する側でもきっとそうするでしょう。
志望動機・志望理由を書くときの注意点
志望動機・志望理由を書く際は、以下の点に注意してください。1.志望動機と自己PRを混同しない
志望動機とはあくまで「なぜその会社を志望しているか」であり、そのことを中心に書いてください。面接でも同様です。「自分は何をしたいのか」だけに終始する人がいます。「したいこと」と「できること」は違います。そこは切り分けて、「できること」は自己PRに書きましょう。多少重複する点があるのは問題ないですが、あまりにも混同してしまっている人が多いのです。面接でも同じミスをする人がいます。
2.ライバル会社のホームページを見てから書く
会社の特徴や強みについて間違った認識をしている場合があります。たとえば、「環境技術に力を入れている」と思って志望動機に書いたのに、「同業他社の方が金額や力点が大きかった」といったことがあります。競合についてはネットで検索をすれば必ず出てきますので、しっかり調べましょう。それでもわからなければ業界の人に質問したり、キャリアコンサルタントに質問するなどして情報を集めます。
調べていないことがわかると面接官としても残念な気持ちになるもので、私も面接をよくするのでわかります。本当にあなたが絶対に欲しい人材であれば別ですが、絶対に欲しい人材ほどよく調べてくるものです。
以上の注意点を踏まえ、あなたらしい転職時の志望動機を仕上げてください。
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