資産運用/資産運用をするときの鉄則

分配型投信の最大のデメリットは複利効果の喪失(2ページ目)

分配型投信がこんなに売れているのは世界の中でも日本だけ。日本人が分配型商品を好むのは、分配型のデメリットを知らないことにあります。分配型のデメリットを知って、複利のマジックを上手に使いこなせば、あなたも資産運用の達人になれる!そのキーワードは税の繰り延べです。

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド

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分配型で収益の6割を失う

たとえば、100万円で分配型投信を買いました。その投信は毎月1%の利益を出していたとします。その投信が分配型で毎月1%の分配金が出ていたとしたら、毎月1万円が元本から支払われ、その20%が税金として徴収されます。毎月8,000円を20年間受け取ることになります。収益がいつも月次1%で分配金で受け取っていたとすると、投資元本は常に100万円と不変です。そして、20年後に元本を解約しました。その収益合計はいくらでしょう?。20年後の税引き後の収益は292万円(100 + (0.8 X 12 X 20))です。

一方で、その投信が分配型でなかった場合には、20年後の解約時まで税金は一切発生しません。そして、20年後に所得の20%をいっぺんにおさめます。元本は複利の法則で大きく増えて964万円になりました(100 X 1.12の20乗)。そこから取得費の100万円を引いた所得に対して20%が課税されて、税金は172万円[(964 - 100)  X 20%]です。すると100万円を20年間投資して得られる税引き後の収益は、792万円(964 - 172 = 792)になります。

分配型を選んだ人の収益は292万円
非分配型を選んだ人の収益は792万円
さて、どちらをあなたは選びますか?

その差は実に500万円、複利で回した時の63%の収益を分配型では取り損ねることとなります。

まあ、20年間にわたり年利12%で増えるということ自体が、今の経済環境では現実味がありませんが、分配を受け取ると収益が減るという傾向は普遍的な法則の一つです。

悪しき傾向に流されない賢者の知恵

それにもかかわらず、お客様が分配型を好むものですから、投信会社もこぞって分配型商品をドシドシと作るようになりました。それは不十分な理解が生んだおかしな行動であり、それが国の投資文化となってしまったのです。あなたは世間に流されず、合理的で効率的な投資ポリシーを貫かれることを願っています。

無分配型の投信は単位型に限られていますから、過去の実績を判断して買うことができません。追加型(オープン型)の投信を選ぶ場合には、無分配型はありませんが、再投資型の投信の中から分配性向の低いもの(できるだけ分配しない政策を持っているファンド)を選ぶことで、上記の複利効果を享受することができます。少なくとも、分配型を選んでいたのでは、複利効果を得ることはかなわぬ夢となることを肝に銘じてください。

分配型を必要とするのは、リタイア後に分配金を生活費としてすぐに使う人たちだけです。
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