【1】
ビジネスの成功を評価する指標は売上げだ。企業の問題の根は、すべて過小な売上が原因だ。売り上げが多くて困った企業など見たことが無い。
多くの企業はこの不足を補うために増資をし、経費削減し、合併や買収をするが、そうしたところで、結局いずれは売上げを伸ばす必要に迫られる。
そのためにあるのがマーケティングだ。もちろん潤沢な予算を使い、単に売り上げを伸ばすだけでいいなら、その基本原則に従えばいい。
だが売り上げを限られた予算で、しかも急激に伸ばさねばならないなら、この基本原則を縦横無尽に応用した“常識はずれなマーケティング”が必要だ。
もちろん必ずこれを否定する人間は現れる。彼らの否定理由は「他と違うから」である。いつも彼らに対する防御策を立てておくことは大切なことだ。
【2】
“常識破りのマーケティング”のアイデアを生み出す方法は「今年業界で最高のマーケティング部門になるには何が必要か」と自分に問うことだ。
普通は「どうすれば与えられた予算を達成できるか」「昨年より多くの利益を確保できるのか」と考えている。だがこうした問いかけは間違いだ。
まずは、先に挙げたような問いを考え、紙に書きワイシャツのポケットに入れる。それだけで、そのためにどうすればよいか、良い考えが思いつくはずだ。
もちろん資金には限りがある。だからこそ創造的な考えが必要なのだ。少ない資金で衝撃的な効果を生み出すから“常識破り”なのだ。
【3】
「自分たちのあるべき姿、ビジョン」「自分たちが取り組んでいる事業は何なのか」を正しく理解することはとても大事なことだ。
例えば、多くの鉄道会社は「自分たちは鉄道事業をやっている」と考えたために消えた。輸送事業をやっていると考えていたら、航空会社に取って代わられることは無かったはずだ。
我々も以前は「スポーツチームの仕事はゲームを開催し、ファンにチケットを売ることだ」と考えていた。しかし本当はエンターテイメントをしていたのだ。
このように周りを見渡せば、自分たちの事業を正しく理解できていない会社はいくらでもある。
【4】
「できのよい新製品を開発していれば客が殺到する」と考えるのは間違いだ。実際には「売れるかもしれないし、売れないかもしれない」
スポーツチームも「強ければマーケティングなど不要」と考えるのは間違いだ。
マーケティングの対象は、その企業に与えられたものに限られるのだ。経営者やブレーンの能力、製品のできを相手にしても仕方が無い。
例えば、営業スタッフのてこ入れならできる。多くのセールスマンは「完璧な製品をばかばかしいほど安い価格でなら売れる」と考えている。
しかし、実際はスタッフの数を増やし、意欲をあげ、トレーニングし、電話の回数を増やすことで、同じ製品を同じ値段で売ることはできる。
【5】
巨大な企業と戦う小さな新参企業は“常識はずれのマーケティング”をするべきだ。AOLも最初はコンピュサーブなどが席巻する市場の弱小者だった。
そこで彼らは39ドルで売っているソフトを無料でばら撒いた。コンピュータ雑誌、機内食、冷凍ステーキなどあらゆるものに同封、自宅に郵送もした。
こうした非常識なやり方をしたからナンバーワンになれた。他と同じやり方なら市場のリーダーの巨大化を助けたに過ぎなかっただろう。
もちろん、サラリーマンにとっては、常識はずれなことを提案すること自体が危険なこともある。そのためには実地検証が必要だ。
AOLも無料ディスク100枚につき10人の契約者が獲得でき、毎月接続料が20ドル入ることがわかったからじゅうたん爆撃ができたのだ。
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