<ポイント2> 乱開発
東京都江東区では平成14年4月に急増するマンション建設計画に対して開発指導要領を改正し、事実上のマンション建設の規制を行いました。その背景となるのが規制緩和による同区への集合住宅建設ラッシュによって児童数が増大し、学校や保育園といった公共施設の受入れに支障を来たすこととなったことです。
そこには廉価にて用地取得ができる不動産業者と人口増による税収増を期待した自治体の思惑が合致した反面、無秩序な開発による弊害を予測できなかった未熟さが露呈した格好となりました。
2003年には不動産関連の様々な法律が改正され規制緩和の方向へ進みます。特定街区の容積率の緩和や都市再生融資の拡充などマンション建設の活性化を促す反面、乱開発化する危険をはらんでいるだけに、こらからのマンション選びでは前ページの国立問題同様に地域住民、さらには自治体の動向にも注視する必要がありそうです。
<ポイント3> すき間産業
温泉や医療施設など、高付加価値(?)を備えたマンションが人気を集めていますが、人口は今後減少し資産価値の暴落で買い替えが未だ難しい状況下では、業者にとってあらたな新規顧客を開拓することは容易ではありません。
そうした中、マンション販売を牽引しているのがシングル女性とリタイア夫婦です。晩婚化や低価格による「家賃との比較」などを契機に単身女性が、また高齢化や都心の利便性をもとめてリタイア夫婦がマンションを購入しています。
不動産業者もこうした傾向を踏まえてコンパクトサイズの物件に力をいれるようになっています。設備や仕様はファミリータイプと遜色なく、専有面積を30~50平方メートル程度にし1人ないし2人でちょうどいい広さとすることで価格をファミリーより安く設定することができるのが最大の特徴です。自分たちで住まなくなれば、賃貸に出したりご子息が住んだりと利用価値が高いのも魅力です。
住まい形態が変化している時世だけに、色々な使い方ができる住宅は有効といえます。
<ポイント4> 可変性
前節で利用価値について触れましたが、ファミリー物件では「今後、住み替えは検討せず住み続ける」と考える人が多くなっています。しかしその間にも家族構成は変化するもので、となればその時々に応じて間取りの変更やリフォームが可能でなければ不便な生活をせざるを得なくなります。
マンションでもオーダーメイド方式の間取りやSI住宅(躯体と内装が分離設計されている住宅)も普及してきています。「こだわり」ある住まいとするためにも、可変性は不可欠となります。
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