首都圏における新築マンションの供給数は8万戸台を続け、一方、既存マンションは三大都市圏で築30年超の物件は約21万戸、2011年には100万戸を突破するといわれています。
高層・大規模物件が契約率を底上げし平均としては好調にみえるマンション販売ですが、価格設定やプランなどが顧客のニーズとマッチしなければ売れ行きは暗雲立ち込める状態を余儀なくされてしまいます。
「建てたら売れる」時代は過去のものとなり、より個別化と差別化を問われるようになってきました。そこで2003年のマンショントレンドを予想してみます。
<ポイント1> 景観価値
平成14年の12月18日に東京地裁で東京都国立市の大学通りに面した明和地所の「クリオレミントンハウス国立」に対する地元住民との訴訟で、業者に高さ20メートル超の部分の撤去を求める判決が言い渡されました。
マンション建設をめぐるトラブルは数あれど、いままでは特定行政庁の「建築確認」さえ取得してしまえば業者側は法律(建築基準法)にのっとって合法的に手続きをしているのだからと、地域住民の意見は聞き入れず一方的に建設を進めるのが通例でした。
ところが今回の判決では一変、原告側が勝訴しています。争点となったのは景観価値という考え方で、長い年月をかけて地元住民が努力することで維持してきたその地域のイメージや良好な景観に対する価値がマンションの建設によって損なわれたことが判決理由となっています。
「マンション購入はエリアを買うこと」と言われるように建物内の居住者が快適な生活をしても、周辺住民が犠牲となっては良好な住環境はなしえないわけで、建設業者と購入者、地域住民、自治体を含めた合意形成がどれだけなされているかが重要となってきます。