以下の内容は2003年9月時点の内容です。税制は毎年改正されますので、十分ご注意下さい。
■ローン契約日によって減税期間が1年短くなる場合がある
住宅ローン減税の適用条件として「入居日」が注目されますが、実はこの入居日以外にも重要なポイントがあります。それがローン契約日(金消契約日)です。金消契約日によっては減税期間が1年少なくなるからです。
金消契約(きんしょうけいやく)とは 正式には金銭消費貸借抵当権設定契約といい、略して「金消契約」と呼びます。一般的にマンションや建売住宅の購入では売買契約、注文住宅やリフォームでは工事請負契約を締結した後、住宅ローンを利用する場合に必要な融資に関する契約です。 |
特に気をつけてお読みいただきたいのが、現在すでにマンションの売買契約を締結し、年末近くに新居へ入居する公的資金融資を利用する予定の方です。また、すでにマイホームを取得し、引渡しを受け生活をスタートさせているにも関らず、上記金消契約を未だ締結していない場合も要注意です。
■なぜ減税期間が短縮されるのか?
住宅ローン減税の還付請求をするには融資取扱金融機関が発行する残高証明書が必ず必要になります。同証明書による年末ローン残高に応じて還付申告を受理した税務署では減額する所得税額を計算するためです。
残高証明書を発行してもらうには、当然残高がなければ発行されないのは理解できると思いますが、融資の申込みをして融資承認がおりても、その後に金消契約を締結しなければ金融機関は「ローン残高あり」と認識をしません。
■残高証明書の発行がポイント
例えば平成15年8月1日に売買契約を締結し、同日公庫の融資申込みを行ったとします。8月20日に融資承認(「お金を貸します」という許可)がおりました。マンションの引渡しは12月20日の予定とします。公庫融資を利用している場合、12月21日以降に金消契約を締結することとなりますが、「必要書類が揃っていなかった」「年末休業に入っていた」など31日までに金消契約が結べなかったとすると、平成15年12月31日までに入居できていますので現在(9/21時点)の住宅ローン減税の適用条件には当てはまり、最長10年間の所得税還付が受けられることとなります。
ところが、金消契約が間に合わず入居した初年度分の住宅ローン残高証明書が発行されませんので、当該年のローン残高はゼロとなり、本来であれば最長10年間もらえるはずであった減税分が1年分少なくなるというものです。
次ページで、もう少し詳しく仕組みを見ていきましょう。