大学生の就職活動/就職活動の準備

就職活動は自分を成長させる(2ページ目)

「自分に自信が無い」と立ち止まっても何も解決しない。就職活動という「現実」と、今までの「自分」をぶつけることで、徐々に生成される新しい「自分」こそが成長。就職活動自体で自らを成長させ、内定を取ろう。

執筆者:見舘 好隆

就職活動で自らを成長させることを意識する!

成長
初めての面接で緊張するのは当たり前。何回かこなせば慣れてくる。結局は続けることで問題は解決される。
2007年10月20・21日に開催された、日本キャリアデザイン学会・第4回全国大会にて、興味深い発表があった。経済産業省が定義した社会人基礎力の3つの力「考え抜く力」「チームで働く力」「前に踏み出す力」と、「知識・常識」を加えた4つの力を、大学生816名にアンケートを行い調査し、学年ごとの平均を出したところ、3年生と4年生との差が一番大きかったのだ(「学生時代の過ごし方がキャリアをつくる」田中潤・高橋浩・三橋明弘)。その要因については二つが考えられる。一つはゼミ、もう一つは就職活動である。アンケートをとったのが5月であることを考えると、就職活動の影響が大きいことが推察される。

また、白石久喜・大津勝利は『Works No.58 就職を科学する』の中で、就職活動の中の以下の4つの「転機イベント」が成長を促していることを述べている。
  1. 期待値が高すぎて志望変更を迫られる。
  2. 面接に何度も失敗し悩む。
  3. 自分にしっくりくる企業がないと、模索し続ける。
  4. あるきっかけで、志望意思を強化する。
いずれも就職活動のステップ、
  1. 自己分析
  2. 情報収集(企業研究)
  3. 現実との対峙(働く現実を知る、選考される経験)
  4. 意思決定(第一志望や入社を決める)
のうち、3と4の間で起こっている。つまり、「新しい機会」に触れて自らとすり合わせる時に、成長は生まれることが推察される。考えてみれば3年生の夏までは、初対面の人と話す機会も、行った事のない場所に行く機会も、難しい課題を考える機会も、自らの人生を考える機会もそうなかったはずだ。もちろん、授業やサークル、アルバイトでもそんな機会はあるが、就職活動と決定的に違うのは、どれも望まなければ避けられることだ(必修の授業は除く)。就職活動の場合、「新しい機会」を忌避すれば、永遠に内定は取れない。結局は「新しい機会」に触れて、もがき苦しみ、くぐり抜けてこそ、自らは成長するのであろう(卒論もある意味同じである)。

茂木健一郎は『意識とは何か─<私>を生成する脳』の中で語る。

「私たちを取り囲む世界は、そして世界に向かい合う私たちの認識の要素は、最初からそこに存在する要素を組み合わせたものではなく、刻一刻生成されるものである」

結局、自らを成長させるということは、外界に触れて、それを取り込み、新しい自分を生成させるプロセスの連続なのだ。就職活動は、自らを成長させる機会であり、今の自分に自信がない人こそ、真剣に就職活動に取り組み、自らを成長させることを意図するべきなのだ。

※次のページで、就職活動で成長する秘訣!を学ぶ!

日本キャリアデザイン学会・第4回全国大会にて、筑波大学院・岡田昌毅准教授が「就職活動自体と教育と結び付けられないか?」という提案があった。確かに、情報収集(自己分析・企業研究)と実践と振り返り(選考)というプロセス自体が、まさにゼミで出される課題と同じだ。そのレポートを小冊子にまとめ、さらにそのプロセスを分析をするだけでも、ものすごく価値があると考える。キャリア教育の新しい取り組みとして、いつかトライしてみたい。
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