大学生の就職活動/就職活動の準備

年功序列は日本企業の成長の鍵だった 1(2ページ目)

年功序列は時代に合わない、これからは成果主義だと言われて久しい。しかし、思ったほど成果主義が日本の企業文化にマッチしていないのも確か。年功序列が持つメリットを加味した制度を持つ会社を選ぶべきだ。

執筆者:見舘 好隆

そもそも年功序列制度って何?

駆け上がる
アメリカと日本では、役職や賃金を上昇させる制度が違う。
年功序列とは、日本の企業の特有の、勤続年数及び年齢に応じて役職や賃金を上昇させる人事制度・慣習のことをいう。その構造を分かりやすくした図が以下だ。

年功序列


まず役職について、日本の場合の組織デザイン(Organization Design)は上図の通り、どの仕事が誰が担当するか明確でない。よって、例えばAの人が定年を迎えるか昇格してAのポストが空いたとしよう。すると、ご存知の通りB・C・Dの人のうち、とても明確に成果をあげている人よりも、「勤続年数及び年齢」を根拠に昇格することとなる。なぜなら、成果を客観的に判断するのは難しいが、「勤続年数及び年齢」は誰でも客観的に判断できるからだ。
アメリカの組織デザインは日本とは違う。図の通りそのポストの役割が明確になっており(Job Description/職務記述書)、例えばAのポストが空いたなら日本のようにB・C・Dから昇格させるのではなく、社外からその職務記述書のスキルを持つ人を採用する。勤続年数及び年齢に起因しない。

年功序列2


また、給料も同じだ。日本の場合、例えばXからYへ仕事内容が違う部署が異動になるとしよう。その場合、給料のランクはAからBへと横滑りするだけで、決して下がらない。しかしアメリカの場合は違う。xからyへ仕事内容が違う部署が異動するならば、そのyの仕事においては最低ランクの給料からスタートすることとなり、場合によっては下がることになる。アメリカの場合はその仕事におけるJob Description(職務記述書)が明確になっており、あくまでもその仕事の職務能力が基準となって給料が決まるのだ。


そもそも年功序列の最たるものは官公庁である。俗に言う「天下り」も、年功序列が背景にあると言える。なぜなら、官公庁におけるトップはご存知の通り「事務次官」。ポストは一つしかない。任期は省庁によって違うが、入省年次によって「どうしても事務次官になれない」人が出てくる。その人は今まで頑張ったのに、昇進できないのだ。そうなると不満が噴出するので、「納得して身を引いてくれる」ために用意された落とし所が、「天下り」なのだ。


つまり、年功序列とは、単に年齢に比例して給料が上がることだけを意味しない。勤続年数及び年齢に応じて「何となく」出世するところがポイントなのだ。

※次のページで、年功序列制度のメリットを学ぶ!
※NHKの連続大河ドラマ「功名が辻」を観る限りでも、室町時代が年功序列的出世(例:家督を継ぐなど)で、戦国時代が成果主義的出世(例:武勲により褒章を得る)であり、江戸時代には年功序列的出世に変化していくのが見て取れる。どうも、年功序列は安定期に向き、成果主義は変革期に合う制度なのだろう。果たして今は、変革期なのだろうか?


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