親の年収、つまり小さい頃からの教育環境に左右されるのか?
子供は産んでくれる親を選べない。生まれの不幸を呪うしかないのだろうか? |
「東大生の実家の年収」である。
(出典:『学生生活実態調査』東京大学)。
なんと約半数が950万以上! むむう、やはり親が金持ちじゃないと東大は難しいのか? それを裏打ちするようなデータが載っている(以下、プレジデント本誌による「東大生100人調査」。詳しくは本誌参照)。
- 両親の学歴…父親が大卒74人、母親が大卒75人と高い。
- 父親の出身大学…東大が16人とぶっちぎり。
- 塾・予備校に通いはじめた時期…中高一貫の私立中学受験を控えた小学4、5年生からの塾通いが約40%と高い。
- 習い事の数…3つ以上の掛け持ちが約40%弱。
- 子供の頃の習い事…約半数が水泳とピアノを習っている。
想像通りの数字だろうか。中高一貫校となれば、公立よりプラス約400万円かかる。その他、習い事・塾・予備校のコストを付加すれば、合計約700万円は余計にかかる。この投資ができる親は、ある程度リッチだと考えていいだろう。
苅谷剛彦は『階層化日本と教育危機』の中で、教育において拡大する不平等が社会的不平等(就職機会など)の拡大再生産に結びつくことを指摘している。「教育に投資できる上流層の子供だけが、高学歴を得、大企業に就職する」という危機を訴えたものだ。苅谷教授の警鐘が如実に現れていると言える。
子供は産んでくれる親を選べない。つまり「東一早慶」など入学偏差値が高い大学ではない学生は、生まれの不幸を呪うしかないのだろうか?
※次のページで、大企業の人事部は、学歴差別を行っているのか?を考える!
※荒井一博は『教育の経済学・入門―公共心の教育はなぜ必要か』の中で、以下の理論を展開している。
- 人的資本論…大学での成績が良い=そもそも教育には本人の能力を向上させる機能がある=よって、成績が良い学生ほど就職がうまくいく。
- シグナリング(スクイージング)理論…大学入学時の選別機能に着目する。つまり、難易度の高い入試を突破した事実で、その学生の潜在能力を推測することができる。