ところで、本当に入学偏差値と就職は関係するのか?
『大学生の就職と採用―学生1,143名、企業658社、若手社員211名、244大学の実証分析』 永野仁(著) |
永野仁は『大学生の就職と採用』の中で、「大学入試難易度」「大学での成績」と、「就職活動に対する自己評価」との相関を分析している。プレジデントのように、就職先ではない。以下は分析結果をまとめたものだ。
- ケース1…「大学入試難易度」「大学での成績」と「就職活動に対する自己評価」との相関。両方とも有意である。
- ケース2…ケース1に、「資料請求企業数」「自己分析の良否」「面接での自己表現の良否」を加えたもの。全て有意だが、「大学入試難易度」「大学での成績」の相関が下がっている。
- ケース3…ケース2に、「ゼミナール参加の有無」「サークル・部活動参加の有無」を加えたもの。ゼミの参加は有意だが、サークル・部活動は有意ではなかった。そして「大学入試難易度」も有意で無くなった。
以上、やはり入学偏差値は、就職先の年収だけでなく、就職活動の自己評価にも影響を与えているようだ。さて、なぜ入学偏差値が、将来のキャリアプランに影響を与えているのだろうか。
「親の年収における教育環境」と「大企業の人事の学歴差別」の、二つの視点でこれから一緒に考えてみたい。
※次のページで、親の年収、つまり小さい頃からの教育環境に左右されるのか?を考える!
※ケース2、3のように、他の要因を加味すると、「大学入試難易度」の相関が小さくなっていく。つまり、その他の要因を強化すれば、大学差別からの開放に繋がると考えていい。詳しくは後述する。