考えてみれば、正社員と同じ研修をしてくれるバイトを選べば、バイト料を貰いながらただで実務研修を受けることと同じなのだ。
『日経ビジネス』2005年4月11日号に載っていた、「ルミネ 競争相手は客、だから連続的変化追う」の記事は注目だ。カルフールが撤退を決め、イトーヨーカ堂、イオン、西友が苦戦する中、ルミネは2005年3月期の全館売上高は6期連続で前年比プラスを確保した。その理由は、入店ショップの店員に自ら接客教育を施し、顧客満足にすさまじいエネルギーを注ぎ込んできることに尽きる。ルミネは毎年9~11月、入居する全ショップを対象に接客診断を実施している。専門家が実際に食事や買い物をして審査する「覆面診断」だ。接客対応がなっていないと判断したショップには改善を要求し、改善がみられなければ「退店」を迫るのだ。もちろん改善を要求するだけでなく、研修を用意している。コストはルミネ持ちだ。口も出すけど金も出す。そのスタイルはソニプラや無印良品、ユナイテッドアローズなど有名ショップでも変わらない。短期派遣であっても対象から外れない。
「いらっしゃいませ」の挨拶から、商品知識の正確さ、「お似合いですよ」といった購入決定後の褒めトーク、胸に着ける名札の写真の笑顔、立ち姿における15度に開く足のつま先(腕組み・後ろ手は厳禁)など徹底的に審査され指導される。厳しいかもしれないけど、もしその力を身につけたなら、溢れるばかりの「働く自信」を得られることは想像に難く無い。
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お金だけを求めていては決して得られない力がある。もちろんお金を貯めて有料のコミュニケーションスキル向上講座や接客講座を受講する手もあるけど、無料で現場で徹底的に仕込まれたほうがお得だし身につくはずだ。
ラクチンさを求めていては決して得られない力がある。もちろんラクに越した事は無いけど、「働く自信」につながる「ストレス耐性」「交渉力」「コミュニケーション力」などは決して身につかない。どうせなら、無料で現場で徹底的に鍛えられたほうが、自らの可能性がどんどん広がるはずだ。
今ラクをして、後で苦しむのか?
今苦しんで、将来の可能性を広げておくのか?
長いスパンで考えたら、結果的に後者がお得であることは、明白なのだ。
※東京ディズニーリゾート CASTING CENTERなら、導入研修も現場研修もばっちり。ちなみに約500人いるダンサーは、どんなベテランでも年に1回オーディションを受けるそうだ。お客様にしてみれば、そのダンサーがベテランか新人かは関係ない。惰性ではなく、毎回初演のつもりで全力で踊ってもらわなければ感動は伝わってこない。そのポリシーはルミネの顧客満足方針と似ているところがある。