入れ替わりが激しいバイト、モジュール的に完結したバイトでは、学べないこと。
リクルートワークス研究所の「雇用の現状」2004年版によると、2000年度卒の新規大卒者の入社3年以内での離職率は37%で増加傾向である。なぜ、あんなに苦労して就職活動したのに、3分の1もの新規大卒者が辞めてしまうのだろう。もちろん、転職市場が活発で新卒では内定が取れなかった会社が応募してたりするなど求人需要の問題もあるけど、根本は「リアリティショック」(現実が理想とかけ離れていることに衝撃を受けること)にある。記事「理想と現実とのすり合わせを事前に行ったのか?」では、「仕事そのもの」が思っていたのと違うことを事前に確かめよう(フィージビリティ・スタディ)と書きましたが、もしかしたら、「仕事そのもの」ではなく「働くことそのもの」に「リアリティショック」を起こしているのでないだろうか。
「働く」ということは、「その職場の一員としてのプライド」を背負うことだ。仲間になる経験は、サークルやクラスなどで何度も経験していると思うけど、「働く仲間」というのは今までとは違う。だって給料をもらうのだから、今まで背負っていた「仲間としてのルール」は比べ物にならないほど厳しい。敬語をはじめとした「言葉」、服装や表情など「ルックス」、時間厳守などの「モラル」、体調を維持して欠勤せず働く「健康管理」、そして職務を遂行する「責任」など、どれも学生時代では経験できない重いものだ。言葉遣いひとつ、約束に遅れることひとつ、最初の3ヶ月は大目に見てくれても、半年も経てば「できて当たり前」で、1年も経てば「できないなら邪魔」になる。「仕事ができる」ことと、「仲間として働く」ことは、天秤にかけることではない。仕事ができなくても仲間として働けるならいい。でも仕事はできても仲間として働けないなら、辞めるしかなくなってしまうことが多いのだ。
よって、アルバイトで身につけてほしい力は、もちろん技術や知識もさることながら、「協働する力」(仲間と相互扶助の関係で仕事ができる力)なのだ。この力こそ、大学時代に少しだけでも身につけておくべき力なのだ。
ここで注意すべきは、コンビニなど需要が多いバイト=モジュール的に完結した仕事だということ。つまり辞めても替えが利く仕事であり、正社員的な仕事の責任感などを学びにくい仕事なのだ。どうせなら正社員的な責任を追及される仕事のほうが、糧になるぞ。
※次のページで、正社員クラスに鍛えてくれるアルバイトの例を紹介しよう!