挨拶は、その場の雰囲気を読み、溶け込む鍵
「トラブルやクレームの原因は実はそれ(責任者がすぐに謝罪するか)以前にあることが多い。お客様が来られても、店員は無愛想。席に案内すると、椅子やテーブルが汚れている。注文とは違うものが運ばれてきた。そんな店で、たとえば料理に髪の毛が一本入っていたとしたら、だれもがキレるに決まっている。反対に、『ようこそ、いらっしゃいませ』と心からお客さまを迎え、サービスが完璧なら、仮に髪の毛が入ってしまっても、『申し訳ありませんでした。サービスでちょっとイカも多めに入れておきました』といって出しなおせば、たいていは笑って許してくださるものである。」(出典:『できるやんか!―人間って欠けているから伸びるんや』中井政嗣)お好み焼きチェーン「千房」の中井政嗣社長が、下働きから現在に成長するまでに自ら刻み込んだ教訓の一つ。確かに「ようこそ、いらっしゃいませ」と心がこもった挨拶で出迎えるお店と、無愛想なお店とでは、例え同じ味であっても前者の店で食べたほうが美味しいし、結果店員が何かミスをしても前者の店なら怒る気もしない。でも後者はどうだろう。入店したとたんイメージが悪くなり、同じ味でも不味く感じ、店員のミスに怒り心頭。もう二度と来店することはない。いかに「挨拶」が重要かわかるだろう。
そう、「愛嬌力」のある人は、日頃から、挨拶や笑顔で「ミスをしても許される」土壌を育成しているのだ。「いい雰囲気」を醸し出しているからこそ「イカも多めに」のお茶目な台詞が相手の心に届く。無愛想な店員が同じ台詞を言ってもダメに違いない。
面接において、面接会場に入室もしくは退室した時の挨拶が、かなり合否に影響することは、これで理解できるだろう。
「なるほど、面接官に向かって、千房の店員さんのように、明るく笑顔で元気よく挨拶すればいいんですね!」
違う違う。もちろん、暗い挨拶より遥かにマシだけど、本質は違うよ。ポイントは、毎日「挨拶」を中心に、笑顔で相手が話しかけやすい雰囲気を作る技術を身につけようということだ。できるだけたくさんの人に、自ら笑顔で挨拶をする。子供にも、おじいさんにも、年齢・性別・職業一切関係無しに。するといろんなタイプの人にも、挨拶をきっかけにその場を緩やかな雰囲気にする力が身につくだろう。挨拶のバリエーションも豊富になるだろう。どんな時でも笑顔で応対できる根性もつくだろう。
面接官にもいろんなタイプがいる。現場叩き上げの営業部長が面接官なら元気よく挨拶することがプラスになるかもしれない。逆にそういう挨拶が嫌いな技術系の部署の社員が面接官かもしれない。ここで言う挨拶とは、その場の状況をいち早く察知し、自ら心を開いて面接官に信頼してもらえる雰囲気を作るための鍵なのだ。ただ挨拶すればいいってものではないことに、注意してね。
※面接会場に入る前、つまり受付や待合室にいる社員への挨拶もかなり重要である。ビルに入って、ビルから出るまで、気を抜いてはいけない。詳しくは「面接突破フルスロットル【後編】」を読むべし。
※次のページで、愛嬌力がある人は「味方が多い」ことを知る!