「自分に素直に生きる」は、到達を信じ努力を続けた者だけが到達できる
リクルートのスピリッツでもあり、NCDA(全米キャリア発達学会)元会長のリー・リッチモンド氏の言葉でもある「フォロー・ユア・ハート」。「自分に素直に生きる」ことは、とても幸せなことだが、世の中そんなに甘くはない。私も最初の就職はもちろん、その後の異動、昇格、転職で何度も現実にぶち当たり、「自分に素直に生きる」ことを削ってきた。きっとみなさんも入社したとたん「フォロー・ユア・ハート」は打ち砕かれるだろう。
「やはり、自分に素直に生きることなんて、無理だという事なんですね」
いや違う。あくまでも「いきなりは無理」なだけだ。無理だからと忘れてしまえば、「フォロー・ユア・ハート」は永遠に不可能になってしまう。
前出の井上由美子さんは関西の大学卒業後テレビ東京に入社、営業事務に配属になる。制作希望だったが異動が叶わず3年で退社。その3ヵ月後シナリオの学校へ入学、派遣で働きながら1年間通学し修了。その後プロットライター(ドラマの粗筋を考える人)で修行を1年ほど積み、やっと脚本家へデビューしている。
「(96年NHK朝の連続テレビ小説『ひまわり』を書き終わって)1週間に計90分の放送で、半年間という長いものを書き終えられて、これで何とかやっていけるかなと思いました。名刺ができたな、という感じですね。」
(出典:『日経ビジネス』2004/6/14号~ひと列伝)
つまり、実務経験と長い下積みがベースになり、てごたえのある仕事をやり終えてやっと、やっと作家性・独特の世界観を打ち出せる脚本家へと到達しえたのだ。
「フォロー・ユア・ハート」は、到達を信じ努力を続けた者だけが到達できる、働くスタイルなのだ。
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社会人一年生だった頃の私は、きっと幼すぎて「自分に素直に生きる」ことを「一旦」諦めたのだろう。そして諦めたことすら、忘れてしまったのかもしれない。そして14年も社会経験を経て、やっと昔の自分の「自分に素直に生きる」意思を思い出すことができた。
果たして今の私は、「フォロー・ユア・ハート」を実践できる力を持っているだろうか? 持っていなければこれから持つことはできるのだろうか? その力をつける努力だけは、これからも絶やさず、生きていきたい。