「共感」という橋を架ける
「初めて会う人同士でも、言葉やふるまいに、何か一つでも、「そう、そう!私もまさにそう思っていたの」とか、「わっかるなー、その気持ち」ということがあれば通じ合える。理詰めで説得して、肩をゆすっても、動かせなかった相手が、いいな。と共感することで、相手のほうから動いてくれる。この橋のゴールは、「好き」になること。」(出典:『あなたの話はなぜ「通じない」のか』山田ズーニー)
コミュニケーションとはまるで鏡のようだ。例えば「あいつのこと、嫌いだなあ」と思っていると、相手も自分のことを嫌いになる。「あの人、いい感じ!」と思っていると、相手も自分のことを好きになる。それはよく考えてみると必然である。なぜなら嫌いな人への反応は知らず知らず冷たくなり、冷たくされたら嫌いになるから。好きな人への反応は逆に好意的になり、好意的にされたら誰でも気分がいいからだ。
面接だって同じことである。企業は当然熱意のある学生の方に入ってもらいたいと思っている。よって、熱意をぶつける方が、面接官は「いい奴だ」と思うに違いない。逆に緊張して固くなっては熱意はまるで伝わらない。「何だこの学生は?つまりあまり入りたくないんだな」と思われたら最後、落とされるに違いない。
しかし、あまりにも一方的に「好きだ好きだ好きだ!」では、恋愛と同じく気持ち悪くて逃げられる。よって自然な「共感」が欲しい。同じ映画に感動すれば「気が合う」気がするように。
例えば志望会社の社員が、社員として気に入っているものは何かということを、先輩訪問や会社訪問で探るのだ。それは社長の言葉かもしれないし、創業者が残した理念かもしれないし、商品そのものへの愛かもしれないし、その会社の職場環境かもしれない。それに同調すれば、面接官も共感する。それが少しでも書かれていると、好感度はかなり違うのだ。
「君、どこ出身?」
「京都です」
「おお京都か。京都は大学時代いたんだよ!」
こんな簡単な共通点でも、共感が生まれ、何となく親近感が出る。
つまり面接のコツは、
うまく「会話」を続けて、
面接官との共通点を見出し、
「共感」を得る努力をすること
なのだ。先輩訪問や店舗訪問の最大の目的は、この「共感」を探すことなのです。
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