「内定取り消し」に必要な経済的理由とは?
解雇するということは、それ相応の理由が必要なのだ。 |
- 人員削減の必要性
会社が経営危機に陥っていて、人員整理の必要性があること。新卒者の内定取り消しでニュースになった日本綜合地所は、2009年2月5日に東京地方裁判所へ会社更生手続開始の申し立てを行った。※追記(2009/2/7)
- 解雇回避の努力
希望退職者の募集や配置転換・出向など、解雇を回避するために相当な努力をしたにもかかわらず、解雇をする必要性があること。例えば経営陣の給料が高額のままだったら、先にその削減から着手すべきである。
- 整理基準と人選の合理性
解雇される者の選定基準が客観的かつ合理的であり、その具体的適用も公平であること。「まだ働いていないから」だけでは、理由にならない。
- 解雇手続の妥当性
対象労働者に対して、整理解雇の必要性やその内容(時期・規模・方法など)について十分説明し、誠意をもって協議したこと。内定取り消しの書面を通知するだけでは、当然十分話し合ったとは言い難い。
もちろん最終的には裁判所の判断になるが、基本的にはこの4要件すべてを検討した結果、客観的に妥当であることを示さなければ、不当解雇であり、内定取り消しは無効となるのだ。
というわけで、法律的に内定取り消しが適法となるケースは、ほとんど無い。よって厚生労働省は、「事業主は、採用内定を取り消さないものとする」と指導しているのである。
この点に関し、NPO労働相談センターの須田光照さんは指摘する。
「企業の人事が、法律を知らないわけはありません。顧問弁護士もいるはず。よって、通常、企業の人事は、法律に抵触しない形での、内定者を採用しない手法をとるのです。」
さて、企業の人事は一体どんな手法をとるのだろうか?
※次のページで、「内定取り消し」を違法としない企業の戦略とは?何かを学ぶ!