「やりたい仕事」と「現実の仕事」の不一致
もちろん、JTBは旅行業界ではダントツの企業だ。旅行業界志望の学生の中では当然第一位に違いない。問題は、学生の旅行業界へのイメージがあまりにも良すぎて、現実に即していない点だ。旅行業界は決して安泰ではない。先日のスペインのテロのように事件が起きれば、その地域への旅行はキャンセルされ、売上はダウンする。家電メーカーのDVDレコーダーのように売上が伸びた目立った商品は無い。トヨタのように著しく業績が伸びたわけでもない。NOVAのようにCMをたくさん流したわけでもない。全日空のようにドラマで取り上げられたわけでもない。つまり業績やメディアでの露出が原因ではないことは確かだ。
では、何故こんなにも旅行業界は人気なのか? それはきっと「仕事が面白そう」に見えるからだろう。確かに間違いなく「旅」は「面白い」。でもイコールその「仕事」が「面白い」とは限らない。旅行業界は私が知る中で最も「やりたい仕事」と「現実の仕事」との乖離が激しい業界なのだ。実際に過去に旅行会社で勤務していたからこそ断言できるが、これは旅行会社がRJP(Realistic Job Preview、現実主義的な仕事情報の事前提供)をあまりしてこなかったことが原因の一つと言える。現実の勤務時間や仕事内容、待遇面など、もっと大学生に仕事の現実を的確に伝えていれば、ランキングはかなり変わったはずだ。
理想を言えば、旅行会社も含めすべての会社がRJPをしっかり行えば、学生も「仕事が面白そうだから」ではなく、「仕事が面白いから」で会社を選ぶはず。そしてこのランキングは「面白い仕事ができそうな会社ランキング」ではなく、「面白い仕事ができる会社ランキング」になるはずだ。
しかし、学生にとっての「やりたい仕事」が、「現実の仕事」と不一致であることは現実。この不一致を一致させなければ、自己PRは荒唐無稽になるし、面接官にも「君は向いてない」「そんな仕事はない」と印象を持ってしまう。たとえ奇跡的に内定が取れたとしても、入社後に「こんなはずじゃなかった」と後悔して、早期退職するだけだ。
さて、どうしたらいいのでしょうか?
※次のページで、少しでも志望会社の現実に触れてみること!を考察する。