なぜ就職を目指す大学生がニートになってしまうのか。この答えは、『ニート ~ フリーターでもなく失業者でもなく』の中で、玄田有史・東京大学社会科学研究所助教授がシンプルに教えてくれている。
それは、今みなさんが就職活動で悩んでいる最大の問題、
「やりたいことがみつからない」
ではない。その根源にあたる、もっともっと深刻な問題、
「人づきあいなど、会社生活をうまくやっていける自信が無いから」
つまり、「働く自分に対する自信の欠如」
が、就職活動を停止させているのだ。
さて、「働く自信」がなぜ欠如するのだろう。
もちろん大学生は、正社員として働いたことが無いのだから、不安に感じるのは当たり前だ。でも、アルバイトやインターンシップなど「働いた経験」はあるはずだ。インターンシップは一部でも、少なくともアルバイト経験はみなさんあるだろう。では、なぜアルバイト経験があるのに、「働く自信」が持てないのだろうか。
リクルートワークス研究所所長・大久保幸夫さんは、『新卒無業』の中で、大学生がいつ、どのような段階で就職活動を辞めるのかをまとめている。第一段階:就職活動以前
大学入学自体が動機があいまいで不登校になる。大学生活に馴染めず大学自体から遠ざかる。
第二段階:就職活動スタート時
いきなり「何がやりたいの?」と聞かれ戸惑う。立派に答えられる学生を見て「自分には無理」「自分はあの人と違う」と思う。結果、就職活動から離脱する。
第三段階:就職活動途中
第一志望群の会社を二、三社受けて落ち、諦める。「妥協までして就職したくない」と開き直る。
大学3年生の冬、そして年明けまで頑張るが内定が出ない。取り残された感情から、キャリアセンターに顔を出さなくなり、離脱する。友人さえも卒業後の進路はわからない。
この角度から考えると、アルバイト経験自体が、「働く自信」に繋がらないことがわかる。なぜならアルバイト経験自体を自信に繋げるには、そのアルバイトを自らの糧にする意識が必要だからだ。特にアルバイト経験によって、働く上で最も必要な力「コミュニケーション力」を獲得できたなら、上記の4つの離脱ケースは容易に避けられただろう。
それでは、アルバイトすら自分の糧にできない学生が、次々と就職活動を離脱するパターンを、段階別にみてみよう。
※次のページで、就職活動からの離脱・第一段階「就職活動以前」を考察しよう!