誘導ミサイルは自ら軌道修正する
自己分析の参考になる話を『かけひきの科学―情報をいかに使うか』(著:唐津一)より紹介します。「(アメリカの数学者の)ウィーナーは第二次大戦中に、飛行機を打ち落とすためのレーダー用の計算機の開発を行っていた。弾丸がうまく命中しないのは、飛行機の未来位置を予測をするための計算がうまくいかないからで、もっと精密に計算して撃てば、命中率はさらに上がるはずだと考え、そのための計算をおこなっていたのであった。そうはいっても、なにしろ地上7000メートルから1万メートルの高高度を飛行する飛行機を打ち落とすわけだから、なかなかむずかしい。風の吹く方向、強さによっても大きく確度は変わってくるし、弾丸を撃った直後に飛行機が向きを変えれば、弾丸はあさっての方向に飛んでいってしまう。」
「(中略)そこで、彼はふと別のことを考えた。弾丸に人が乗って、もし認知した標的からはずれそうになったら、自ら舵を動かして軌道を修正したらどうだろう。これをつづけていけば、かならず標的に命中するはずだ。それなら精密な計算など必要ない。(中略)今日でいう誘導ミサイルである。」
「誘導ミサイルは自ら軌道修正する」
この考え方を「サイバネティクス」と呼びます。
うーん、難しい言葉だけど、実はみなさん、普段やっていることなんです!
例えば、恋人のプレゼントを買う時だって、
- 過去の情報:「過去どんなものを贈ると喜んだか」
- 現在の情報:「予算」「現在、恋人が欲しそうなもの」
例えば友達と旅行中、アクシデントで時間が予定よりなくなった時、
- 過去の情報:「友達・自分の旅の経験」
- 現在の情報:「残り時間」「予算」
つまり、過去の情報で方向性を決め、現在の情報で修正を加えることは、いつもやってることなんです。今晩のご飯だって、試験勉強の予定を立てる時だって、アルバイトを選ぶ時だって、サークルを選ぶ時だってそう。
みなさんは実は、いつも「サイバネティクス」してるんです。
※次のページで、就職活動を「サイバネティクス」してみるとどうなるか考えよう!