住宅ローン減税が受けられなくなる場合
1)合計所得金額が3000万円を超える年分は控除を受けられなくなる
株式や保有不動産の売却により多額の譲渡益が発生したり、退職により退職金を手にした場合など、当該年の合計所得(収入-各種控除または必要経費)が3000万円を超えると、その年分はローン減税が受けられなくなります。翌年に3000万円を下回れば、再び控除を受けられる(復活)ようになります。
2)給与所得者が使用者などから使用人としての地位に基づいて貸し付けを受けた借入金につき支払うべき利息がない場合、またはその利息の利率が1.0%未満となる場合
簡単にいえば、サラリーマンが社内融資を活用して購入資金を工面した場合、その利率が1.0%未満であると「会社から補てんを受けている」ことになるため、住宅ローン減税が一切受けられません。社内融資以外からの借り入れであれば、たとえ利率が1.0%未満でも問題ありません。
3)時価の2分の1以下の価格で譲り受けた場合
給与所得者が使用者などから使用人としての地位に基づいて家屋又はその敷地を時価の2分の1以下の価格で譲り受けた場合、住宅ローン減税は一切受けられません。
4)控除対象住宅を空家または賃貸にした場合
適用条件の1つに取得後6ヶ月以内に入居し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続き住んでいることがあります。極端な例ですが、大規模なリフォームを行なうために12月25日に家族全員が仮住まい先へ一時引っ越しをし、年明け1月5日に自宅へ戻ってきた場合、12月31日時点で控除対象住宅には誰も住んでいないことになりますので、その年分は減税が受けられません。
また、転勤した事例もよく取り上げられますが、家族全員で転勤し、転勤期間中は空家または賃貸に出した場合、転勤している間はローン減税が受けられません。平成15年度の改正で、一定条件(「関連サイト」を参照)にあてはまれば転勤から戻った場合に再適用される制度が創設されましたので、条件に合えば住宅ローン控除は復活します。しかし条件を満たせなければ、残念ながら復活しないことになります。
一方、住宅ローンの名義人が単身赴任(扶養家族は残る)により控除対象住宅を留守にした場合、税制上は本人が引き続き住んでいるものとみなすため、住宅ローン減税は継続します。本人が住んでいる(とみなす)わけですから当然です。従って、単身赴任から戻ってきても「再適用される、されない」という議論は起こりえません。
さらに実際の相談例として、売買契約はしたけれど、マイホームの引き渡しを受ける前に転勤を命ぜられた場合、「マイホームに入居する」という適用条件に外れますので、住宅ローン控除は一切受けられません(転勤が解除されマイホームへ戻ってきても復活しません)。ご注意下さい。
【関連サイト】こんな場合、控除はもらえるのか?
【関連コラム】急な転勤で、住宅ローン減税は?
5)中古住宅の購入と同時にリフォーム工事を行なった場合
よくあるケースです。この場合、中古住宅を取得するのに要したローンおよびリフォームローンの両方が控除の対象になると考えがちですが、減税が適用されるのは中古住宅取得のための借入金だけです。リフォームローンは対象外となります。
「“すでに”自己の居住の用に供している住宅」を増改築した際に住宅ローン減税は適用されますので、「100万円以上のリフォーム工事なら何でも対象になる」と思っている方はお気をつけください。入居後に可能な程度の工事であれば、まずは引き渡しを受けていったん生活を開始後、新たにリフォームローンを組めば控除が適用されることとなります。
6)期間短縮型の繰り上げ返済を行なった場合
繰り上げ返済によって当初の借入れ期間が短縮され、その結果、償還期間(すでに支払い済みの期間+期間短縮後の残された返済期間の合計)が10年未満となってしまうと住宅ローン減税はそれ以降、一切受けられなくなります。
7)居住用財産の各種特例を利用した場合
購入年とその前後2年間において、以下の特例の適用を受けている場合
- 居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
- 居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例
- 相続などにより取得した居住用財産の買い替えの場合の長期譲渡所得の課税の特例
- 相続などにより取得した居住用財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例
- 特定の居住用財産の買い替え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例
住宅ローン減税と上記特例は同時に利用できません。どちらか有利な方を選択することとなります。
※主な特例を抜粋しております。各内容については説明を省略します。
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