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『利益が出ているのに倒産』のナゼ その1(4ページ目)

会社の状態を判断するとき、何がその判断材料になるでしょうか?多くの人は『利益』を思い浮かべるのではないでしょうか?でも、「利益さえあれば、何とかなるさ」という考えで、大丈夫なのでしょうか?

執筆者:森 康博


タイミングのズレを生みだす『掛取引』と『手形取引』

2ページ目の設例では『モノの流れ』と『お金の流れ』が同じタイミングでしたから、利益に見合った形でお金も増えていきました。このような取引は『現金取引』といいます。すべての取引が『現金取引』に出来れば今回のような問題も生じないはずですが、現実はなかなかそういかないのです。

グローバル
商取引が複雑化・スピード化されていくにつれ、現金取引以外での取引が求められるようになってきました。
「掛取引」「手形取引」のことを「信用取引」と言ったりする場合もあります。
商取引が発達し、スピードも求められるようになってきた現在、取引のたびに現金で決済していては、せっかくの商売のチャンスを逃してしまうことにもなりかねないことや、多額の現金の取り扱いは盗難などのリスクがあることなどから、『現金取引』以外の取引が求められるようになってきました。
そこで、取引先の信用度に応じて現金ではなく、後日約束した日までに支払えばよいですよ、という取引を用いるようになってきました。それが『掛取引』や『手形取引』と呼ばれるものです。平たく言ってしまえば『ツケ』ですよね。

『ツケ』は代金を支払う方にすれば、支払が後で済みますから、現金取引に比べて商売がしやすいというメリットがあります。
と、いうことは売る方から見ても、現金取引に比べれば簡単に売上を獲得することが出来ますので、『掛取引』や『手形取引』を選択してしまいがちです。

しかしながら、それは同時に『利益』と『お金』のズレも広げてしまうということ。
折にふれて『利益』と『お金』のズレを認識していくようにしないと、利益だけたくさんあるけれど、その利益に見合った税金を支払うお金を用意することができず、最悪の場合、倒産といった事態を招くことにもなりかねないのです。

実は、他にも原因が……

『利益があるのに、お金がない』ということの原因は、他にも存在します。
次回の記事では引き続きその原因を探っていきつつ、『利益があるのに、お金がない』といった事態を改善していくポイントをご紹介していきます。
お楽しみに!


■ 続きの記事はこちらになります!引き続き、ご覧ください。

【今回のまとめ】

■ 『黒字なのに、お金がない』というのは、実はよくあること。
■ 『利益』は、お金の有無に関係なく『モノの流れ』に応じて計上される。
■ 『利益』と『お金』のズレは『掛取引』や『手形取引』が原因。
■ 『掛取引』や『手形取引』の多い会社は『お金』の流れも特にケアする
必要がある。
■ 『黒字なのに、お金がない』原因は、どうやら他にもあるらしい……
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