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『利益が出ているのに倒産』のナゼ その1(3ページ目)

会社の状態を判断するとき、何がその判断材料になるでしょうか?多くの人は『利益』を思い浮かべるのではないでしょうか?でも、「利益さえあれば、何とかなるさ」という考えで、大丈夫なのでしょうか?

執筆者:森 康博


『モノの流れ』と『お金の流れ』は違う!

でも、前のページのようになることは、現実には無いことのほうが多いのです。その原因は、『タイミングの違い』にあります。

『利益』は、売上などの「収益」から仕入その他の「費用」を差し引いて計算しますが、これら「収益」や「費用」は、「発生主義に基づく実現主義」、「発生主義」そして「費用収益対応の原則」といった決まりによって、計上のタイミングが決められています(「費用」については、こちらもご参照ください)。

小難しい言葉がいくつか出て来ましたが、簡単にまとめて言ってしまえば、一般的に『利益』は商品などの『モノの流れ』に基づいて計上されることが多いということです。

先ほどの例で言えば、出金や入金は関係なしに、
  • 「100円のものを仕入れる」時点で帳簿に「仕入」を計上し
    (仕入先からうちの会社に商品が移動する)、
  • 「得意先に商品150円を売って商品を渡したとき」に「売上」を計上します
    (うちの会社から得意先に商品が移動する)。
このようにして計上された「仕入」「売上」をもとにして、『利益』が計算されていきます。

つまり、『利益』の計算にあたっては、『お金』があるかどうかなんて関係ないのです!
ですから『利益の額』は、そのまま会社にある『お金の額』を表していない、ということになります。

タイミングのズレが大きいほど『利益』と『お金』もズレていく

迷宮入り
売上に対する入金を遅らせる、ということは、実はかなりのリスクを伴うことなのです。
と、いうことは、逆のパターンであれば……?
売上ひとつを取ってもお分かりになるかと思いますが、実際の商売では商品を渡す(=請求を起こす)けれども、その請求に対する入金は翌月、あるいは数ヶ月後、といった話はよくあることです。

商品を渡したときに、先に「収益」を計上しているのに、その「収益」に対応する「お金」の入金が後にズレてしまうと、そのズレている間については、「収益」と「お金」が対応することはありません。

では、『ズレ』の原因は一体何なのでしょうか。
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