「同じように説明してるのに、あの子は仕事覚えるの遅いなあ…」
「自分では完璧に説明したはずなのに、全然伝わってなかった!」
仕事の上だけではありませんが、このような自分と人との感覚のズレのようなもの…感じたことってありませんか?
言った!言わない!で思わぬトラブルになってしまったり、「どうしてわかってくれないの?」って、ストレス貯まったりしますよね。
こんな時、どうすれば上手く伝えることができるだろうかと、悩んでいらっしゃる方も多いと思います。
なので今回は、ビジネスマナー講師の津島 華子さんにアドバイスを伺ってきました。
≪津島 華子(つしま はなこ)≫ 聖心女子大学卒業後、東京のホテルに就職。5年間の在職中は、接客接遇、マーケティングなどの業務を担当。退職後、夫の転勤に伴い渡米。帰国後、派遣社員として企業研修アシスタント業務に就く。現在は、東京の某研修会社にて専任講師を務めている。心理学、カウンセリングを勉強中。心理学書の翻訳も手がけている。 |
【津島さん】
私は現在、研修講師として勤務するかたわら、心理学やカウンセリングを勉強中です。
研修にしても、カウンセリングにしても、人間同士のコミュニケーションが円滑に行かないと、その目的達成に支障をきたします。
ただ、人間は複雑な生き物ですから、相手の「性格」を見抜いて、いつでもバッチリとその人に合ったコミュニケーションをはかることは、中々難しいですよね。でも、「性格」はさておき、日々のちょっとした観察で、相手の感覚のタイプを見抜くことは比較的簡単にできます。
相手を良く観察し、その人がどの感覚を中心的に使っているかを知ることができると、コミュケーションがうまくはかりやすいのです。
まずは、人の感覚タイプを大胆に3つに分けた表をご覧ください。
眼球の動き | 身振り手振り | 表現 | 記憶の移動 | |
視覚型 (イメージ派) |
上へ動く キョロキョロ |
上へ向かう | 色や形にこだわる 話が飛ぶ |
面 |
聴覚型 (論理派) |
一点を見据える 又は、やや下 |
話の意味に沿った動き | 時間、距離、能書きにこだわる 連続的、一貫性 |
線 |
触覚型 (行動派) |
水平か下を泳ぐ キョロキョロ |
オーバーアクション 縦の腕の動き 話の意味に無関係な動き |
センテンスを止める 擬音語、擬態語が多い 抑揚が多い |
点 |
実際のビジネスシーンに置き換えて、その特徴を見てみましょう。
視覚型は何事もイメージ先行のイメージ派。感性の人なので、ヒラメキ、発想力は豊か。
会社で、例えば会議室や給湯室、化粧室での注意書きを、一目で分かるようにイラストもまじえながら上手に作成する人って、いませんか?また、地図や図、ビジュアル・プレゼンテーションなどの資料を作らせたらピカイチ。
会議などでの発言は、イメージしたものを早く口に出そうとするせいか、早口になる人が多いかも。
次から次へと映像が頭の中に浮かび、それを言葉にするので、やや一貫性を欠き、論理の飛躍、逸脱もあります。また、客観的なデータや事実よりも、個人的な思い込みや決め付けが先行しがちな面もあります。
聴覚型はずばり、論理派。感性面よりも論理面重視です。仕事は、計画性、一貫性、連続性を重んじます。コツコツ型とも言いましょうか。データの作成や、論理的な文章の作成は得意です。
表現法は、あまり声に抑揚が無く、スピードはゆっくりめ、理路整然と話をしますので、まじめなプレゼンは上手。でも、ユーモアのセンスを入れ込むのは苦手。
能書きなどにこだわる面もあり、一方でしつこい印象を与えることも。
また、突発的な仕事への対応は苦手で、やりかけの仕事をきちんと終わらせないと、次の仕事に移れないので、周囲には融通が利かないと誤解されることもあります。
触覚型は謎の多い、個性的な行動派。とにかく、発想、行動共にユニークです。
職場に1人はいませんか?普通にしていても、何だか目立ってしまう人。このタイプは、物事を身体の感覚やムードで捉えることが多く、映像処理や論理的処理が苦手。
表現法は、オーバーアクション気味で、「ガンガン」、「ドーン」などの擬音語や擬態語が多く出てきます。多少、場にそぐわなくても、キャラで許されてしまう得な人!
仕事では、一応段取りを決めたとしても、電話が入ると席を立ち、誰かと相談をしに行き、そのついでに他の人と話をして、新しい仕事を持ちかえり、席についたらまた新しいことを始めてしまう。周囲には、落ち着きが無く、一貫性も無いという印象を与えるかもしれません。
【平井】
ふむふむ…あの人は○○型かな…とか思い当たることもありますね。
説明を聞いた限りでは、事務のお仕事には『聴覚型』が向いてるのかな。
【津島さん】
うーん、向いているか?ということは何とも言い難いです。例えば、聴覚型は、一貫性や連続性がありますが、突発的なことが起こった時の対応が苦手です。そんな時は、触覚型の言わば「マルチ・タスク」的な能力はとても評価されると思います。落ち着き無く思える触覚型も、何もやりっぱなしで仕事を放っておくのではなく、その人のペースで仕事を完成させているのですから。
誤解しないで頂きたいのですが、このタイプ分けは、何もどれが良くてどれが悪いということを表わしているのではないのです。
端的に言えば、「人それぞれに特徴がある」ということです。これらは、私達が、子供の頃からの生活体験の中で、周囲の状況を記憶するのに、特にどの感覚を積極的に駆使して、逆にどの感覚をあまり頼りにしてこなかったか、ということです。
誰にでも、一つか二つの「優位」な感覚があり、必ず一つの「劣位」な感覚があるとされています。
例えば、100点満点とすると、視覚が80点で、触覚が75点でほぼ同格だから、この二つが「優位」、でも、聴覚は60点くらいでどちらかといえば、「劣位」。といった具合で、何かの感覚が0点で全く無い、ということではありません。
【平井】
仕事の上だけに限りませんが、同じことを言っているつもりなのに、相手によって全然伝わっていなかったり、逆に「あの人の説明はわかりにくいな…」と感じることがあるのですが、これらも、お互いの感覚のズレによるものなのでしょうか?自分の優位な感覚に訴えられると理解しやすいというか…。
【津島さん】
そうですね…。ではもっと具体的な例をあげて説明してみましょうか。例えば親しい同僚に、取引先への道順の説明をすると、感覚タイプの違いがこのように出てきます。