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退職日の設定は慎重に…退職手続と年金

「退職日を月末の一日前すると、来月の保険料を払わなくていい」。そんな話…聞いたことありますか?健康保険に比べぴんとこない厚生年金…手続きを怠り空白を作ると忘れた頃に大変な事になる可能性が。

執筆者:平井 実穂子

転職決定!キリ良く月末退社を申し出たら、
「1日前に退社したら?そうすると来月保険料払わなくていいんだけど」
…なんて言われた…そんな話、聞いた事ありませんか?
それってラッキー!?得したなぁ…じゃ、そうします!…って言う前にちょっと考えてみて下さい。どうして一日前なら「払わなくていい」んでしょう?
ジツは会社の事務を預かる者としては、ちょっとフクザツな話題なんです…。

ここで言うところの保険料とは、健康保険と厚生年金保険の事ですが、身近な健康保険に比べて、ぴんとこない厚生年金…実は手続きを怠ると忘れた頃に大変な事になる可能性があるんです。

【「来月」の保険料の行方は…】

例えば…新入社員で4月1日入社した時の初任給からは、社会保険料の控除は無かったはず。
社会保険料は後払いが原則。だから4月の保険料は5月の給与から控除されていたのです。
これでいくと最後の保険料の控除は来月の給与からのはず。ですが、
1月の間に年金制度が変わってしまう場合は、月の最後に加入している年金制度に納付する事になっています。

ですから仮に8月30日付で今の会社を退社、9月1日から次の会社といった場合、その日までとその日からは、それぞれの会社の厚生年金に加入しています。では8月31日は?…手続きをしなければ、どの制度にも加入していないという状態…。このままではどこにも払う事ができません。
たった一日だし、どこにも払えと言われないんだからいいじゃない…ちょっと待って下さい。

【空白の一日の恐怖…】

国民年金からは、いわゆる「年金(老齢基礎年金)」が65歳から支給されますが、40年間空白期間なく納めた場合は満額、そうでない場合は期間に応じて減額されます。また、25年以上納めなければ支給されません。
それは月単位でカウントされるので、たとえ24年11ケ月納め続けても、1月足りなければ1円だって貰えません。

知らないまま、うんと後になって、この時のこれがひっかかってしまった!
そんな事が絶対無いとはいいきれません。事務担当者として私が不安に思うのは、これなんです。
これを防ぐためには、先の例では、この空白の一日を、自分で国民年金の手続きをして埋めなければいけないのですね。

【実は会社が最もお得】

要は切れ目無く何かに入っていればいいのよね?
それなら安い方がいい!厚生年金と国民年金…どっちが安いの?

例えば失業保険を貰いながら求職活動するという場合も、自分で国民年金の手続きをし、各市町村に支払う事になりますが、
平成13年度の国民年金保険料は、一律月額13,300円です。
給与明細から引かれてる「厚生年金」より安い!という方がほとんどなのではないでしょうか?
ですがこの場合、年金の質を考えると、だんぜん損なのです。

厚生年金は、自分が支払っている金額と同額を、会社も支払っています。
かなりの額ですよね…。その分貰える年金の額も、国民年金だけの場合と比べて多いです。
そう考えると、この1日の空白は、『半額でより良い年金に加入できる機会を1月分損した!』とも言えます。
またそれは、会社からすれば経費です。
辞める人を末日の1日早くに退社させ、次の人を翌月1日に入社させれば、1ケ月分の会社負担の保険料が浮いてお得!…そう、このやり方が最もお得なのは実は会社なのです。
もちろん悪意でこんな事を言う会社がそうそうあるとは思いませんが、
退社日を決めるのは、自己都合の場合退社する社員です。これらの事をよく考えて慎重に決めて欲しいと思います。

公的年金制度にはいろいろ不安もありますし、特に金欠になりやすい転職活動時…出費を抑えるために、一日前に退社して国民年金も払わない!
知った上でやる事なら、後にフォロー(2年以内なら追納も出来ます)も出来るでしょう。
ですが知らないままだったら…。

するしないを決めるのは退社する社員ですが、事務担当者としては、できれば退職後、その方に必要な手続きをアドバイスして、気持ち良く見送りたいと思うのです…。

→例えばこんなアドバイス
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