2008年9~10月、介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士の、いわゆる三福祉士有資格者に対し、就労状況や就労意識などについてのアンケート「介護福祉士等現況把握調査」が実施されました。社会福祉士を取得した私も回答したのですが、就労状況や給与水準、離職理由、復帰の条件など、かなり詳細に渡った質問がありました。この調査は、潜在介護福祉士等がどれぐらいいて、その方たちが介護の仕事に復帰する意志があるかどうか、あるとしたら復帰の条件は何かを尋ね、介護・福祉分野の人材確保の検討材料にすることを目的としていました。

ここでは、2008年末に発表された調査結果から、介護福祉士と社会福祉士の有資格者の現況に絞り、潜在する介護福祉士等が福祉や介護の分野に復帰してくれるためには何が必要かを考えてみたいと思います。

今後も介護福祉士有資格者を増やせるのか?

この調査結果を見て、私が最初に注目したのは介護福祉士有資格者の年齢層の高さでした。50歳以上のかたが約35%を占めています。2008年度の第20回介護福祉士国家試験でも受験者数が最も多かった年齢層は、29.6%を占める41~50歳と、もともと受験者の年齢層が高い資格ではあります。それにしても、50歳以上の有資格者が約18%の社会福祉士と比べると倍近い割合です。

■調査回答者の年齢構成■
  社会福祉士 介護福祉士
20歳未満 0.0% 0.2%
20歳以上30歳未満 31.6% 17.6%
30歳以上40歳未満 33.8% 24.0%
40歳以上50歳未満 16.6% 22.9%
50歳以上60歳未満 13.1% 26.3%
60歳以上65歳未満 2.8% 6.2%
65歳以上 1.7% 2.5%
不明 0.3% 0.3%
社会福祉士(N=26,624) 介護福祉士(N=152,564)

介護福祉士は1987年にできた資格ですから、新卒の有資格者が50歳に達するにはまだ約10年あります。となると、ヘルパー2級あるいは無資格で実務経験を積み、国家試験を受験して資格を取ったかたが多いということですね。こうしたかたたちが介護の職場を支えてくれているわけです。

今後は、潜在介護福祉士の職場復帰を促すと同時に、新しい介護福祉士を増やすことも重要です。そう考えると、実務経験3年+600時間の講習という介護福祉士の実務経験ルートの受験資格変更は、介護福祉士有資格者を増やしていく上で大打撃となるのではないでしょうか。もっといえば、資格が取りにくくなるということで、未経験で介護の仕事に就こうという人が減るのではないか、とも思います。

実務経験ルートだけでなく養成施設ルートも、卒業と同時に資格が取得できていたものが、試験が課せられることになりました。これにより、介護福祉士養成施設への進学が敬遠されることも考えられます。

介護福祉士はこれまでと比べると、一気にハードルの高い資格となりました。その施策自体が間違っているとは思いません。しかし、たとえば実務経験ルートでは、「教育訓練給付制度」以外でも資格取得の費用を助成する、あるいは、事業所が職員を600時間の研修に出しやすいようサポートする公的な制度など、強力な支援策が必要ではないでしょうか。早く支援策を打ち出さないと、介護福祉士国家試験受験者激減につながりかねないと思います。

熟年層の介護福祉士が多いということは、あと10~20年の間にこのかたたちは徐々に離職していくということです。このかたたちが活躍している間に新たな人材確保、育成を進めていかないと、人数だけでなく質的にも相当厳しい状況が生まれてくることが予想されます。各事業所においても、新たな人材を確保して資格取得を促し、育成していく体制整備が急務となりそうです。