「非該当」の人たちは置き去り
日本の介護保険では現物給付ですが、ドイツは現物給付も現金給付も、両方を組み合わせたコンビネーション給付もあります。現物給付(在宅、施設)と現金給付の給付額は下記の表の通りです。ドイツ介護保険の給付額 |
在宅介護(現物給付) | 施設介護(現物給付) | 現金給付 | |
要介護 1 | 420ユーロ (約5万1000円) | 1023ユーロ (約12万円) | 215ユーロ (約2万6000円) |
要介護 2 | 920ユーロ (約11万2000円) | 1279ユーロ (約15万6000円) | 420ユーロ (約5万1000円) |
要介護 3 | 1470ユーロ (約18万円) | 1470ユーロ (約18万円) | 675ユーロ (約8万2000円) |
重篤事例 | 1918ユーロ (約23万4000円) | 1750ユーロ (21万3500円) | - |
※重篤事例は、ガン末期など24時間介護が必要な人で、全被保険者の5%程度。 ※1ユーロ=122円(2008年11月28日午後11時現在)として計算 |
現物給付の半額程度である現金給付は、隣人や親類など、介護を手伝ってくれた人たちに謝礼として渡すためのお金、という位置づけです。最近では、介護の手間が金額に見合っていないため、現物給付を選ぶ人が増えていると言います。現物給付を選ぶ人が増えれば、それだけ給付額は増えていくことになります。この点からも、ドイツは今後、給付費増大の可能性があります。
家事援助は要介護と認定されないと利用できない
在宅介護の現物給付は、鑑定項目と同様、入浴介助や排泄介助などの「身体衛生」、調理や食事介助などの「食事」、「起床介助、歩行介助、外出介助などの「移動」、そして、買い物、料理、掃除、食器洗い、洗濯、アイロンかけなど、日本の「生活援助」にあたる「家政」があります。「移動」の外出介助では、日本と同様に散歩の介助は不可、公的機関に出かけるときの介助はOKなど厳しく決められています。また、日本でも生活援助のサービス提供について、家族と同居している場合の利用制限が話題になっていますが、ドイツはこの「家政」のサービスも、要介護と認定されないと利用できません。つまり、ドイツでは非該当である日本の要介護3以下の人は利用できないわけです。非常に厳しいと思います。