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ドイツ介護保険は日本とこう違う【後編】(2ページ目)

日独の介護保険比較記事の2回目。日本の介護保険はドイツを参考に作られましたが、大きく違う部分もあります。ドイツと日本の介護保険制度の違いを整理する後編。今回は「要介護認定調査」と「給付」について。

執筆者:宮下 公美子

「非該当」の人たちは置き去り

日本の介護保険では現物給付ですが、ドイツは現物給付も現金給付も、両方を組み合わせたコンビネーション給付もあります。現物給付(在宅、施設)と現金給付の給付額は下記の表の通りです。

ドイツ介護保険の給付額
 在宅介護(現物給付)施設介護(現物給付)現金給付
要介護 1420ユーロ
(約5万1000円)
1023ユーロ
(約12万円)
215ユーロ
(約2万6000円)
要介護 2920ユーロ
(約11万2000円)
1279ユーロ
(約15万6000円)
420ユーロ
(約5万1000円)
要介護 31470ユーロ
(約18万円)
1470ユーロ
(約18万円)
675ユーロ
(約8万2000円)
重篤事例1918ユーロ
(約23万4000円)
1750ユーロ
(21万3500円)
※重篤事例は、ガン末期など24時間介護が必要な人で、全被保険者の5%程度。
※1ユーロ=122円(2008年11月28日午後11時現在)として計算


現物給付の半額程度である現金給付は、隣人や親類など、介護を手伝ってくれた人たちに謝礼として渡すためのお金、という位置づけです。最近では、介護の手間が金額に見合っていないため、現物給付を選ぶ人が増えていると言います。現物給付を選ぶ人が増えれば、それだけ給付額は増えていくことになります。この点からも、ドイツは今後、給付費増大の可能性があります。

家事援助は要介護と認定されないと利用できない

在宅介護の現物給付は、鑑定項目と同様、入浴介助や排泄介助などの「身体衛生」、調理や食事介助などの「食事」、「起床介助、歩行介助、外出介助などの「移動」、そして、買い物、料理、掃除、食器洗い、洗濯、アイロンかけなど、日本の「生活援助」にあたる「家政」があります。

「移動」の外出介助では、日本と同様に散歩の介助は不可、公的機関に出かけるときの介助はOKなど厳しく決められています。また、日本でも生活援助のサービス提供について、家族と同居している場合の利用制限が話題になっていますが、ドイツはこの「家政」のサービスも、要介護と認定されないと利用できません。つまり、ドイツでは非該当である日本の要介護3以下の人は利用できないわけです。非常に厳しいと思います。
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