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総務省から厚生労働省への勧告の効果は?(2ページ目)

2008年9月5日、総務省から厚生労働省に対して介護保険事業等に関する勧告が出されました。官僚組織内にチェック機能があったとは驚き!(失礼) 果たしてこの勧告に実効性は?

執筆者:宮下 公美子

不十分と指摘された介護サービス従業者確保の対策

総務省の調査結果では、すでにあちこちでうんざりするほど言われていることではありますが、介護サービス利用者の増加に伴い、サービス従事者も大幅に増加していること、従事者は約100万人だった平成16年から、10年後の26年には約140万~160万人が必要と推計され、16年からの10年間で40万~60万人の従事者確保が必要であることが、まず指摘されています。

にもかかわらず、介護サービス従事者の離職率は21.6%と、全産業平均の16.2%より高い。一方、有効求人倍率を見てみると、介護関連職種は2.10倍(求職者1人に対して2.1件の求人があるということ)と全職種平均の0.97倍の2倍以上の倍率という慢性的な求人難。

離職率が高く、求人倍率も高い売り手市場の介護業界は、賃金面で見てみると、全産業の男性労働者の年収試算額が511万円なのに対し、男性の福祉施設介護員の年収試算額は315万円という低い水準だということも指摘されています。ちなみに女性は324万円に対し、281万円。

この金額も実態より高い気がしますが、介護労働安定センターの調査に基づいて総務省が作成したデータ(下記の表参照)によれば、20年以上の勤続では平均32万円の月収がある、とのこと。平均するとそれぐらいになるのでしょうか。何だかピンと来ませんが。

介護サービス従事者の
事業所勤続年数別平均税込み月収額等(平成18年7月)
 税込み月収額人数
1年未満14万円1万6069人
1年以上2年未満15万円2万5481人
2年以上3年未満15万円1万9980人
3年以上4年未満16万円1万4710人
4年以上5年未満17万円9782人
5年以上10年未満19万円2万1627人
10年以15年未満24万円5556人
15年以上20年未満28万円1716人
20年以上32万円1366人
無回答14万円5086人
平均17万円 ー 
合計 ー    12万1373人
この表は、平成18年度事業所における介護労働実態調査(介護労働安定センターが実施)に基づき、総務省が作成した

ともあれ、こうした状況にありながら厚生労働省は対策が不十分!と、総務省は以下の指摘をしています。

  • 離職原因・未就業の原因の実態把握、どのような対策等が講じられれば就業するのかなどについての意識調査が未実施
  • 介護サービス従事者の賃金の多面的・総合的な把握・分析が不十分
  • 介護サービス事業者の財務状況の分析が不十分

これを改善するために総務省が実施するよう勧告したのは、まずは、介護サービス従事者の主な職種について、離職の原因と就業しない原因の実態把握と、どのような対策が講じられれば就業するのかについての意識調査をすること。そして、介護サービス従事者の賃金がどのような体系、額になっているかなどの多面的な把握と、他の業界との比較・分析をすること。

こうしたことを踏まえ、介護サービス従事者がどうすれば定着するか、介護報酬も含めた対策を検討するよう促しています。

どう思います? この改善勧告。
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