とにかく何か手を打たなくては
民主党法案で、最も批判を浴びていたのは、格差拡大になるのではないか、という点。民主党法案には、与党から厳しい意見が相次いだ |
また、財源案に対する批判もありました。介護保険事業国庫負担分の剰余金や厚生労働省の随意契約3000億円分の見直しによる予算削減分等を充てる、というのが民主党側の案。これに対しても与党からは、「余剰額を財源とする制度はどうなのか」「流動的で将来財源不足になるのが明らか」などの批判の声が上がりました。
そして、この法案が成立、施行されたとしても、加算分を給与アップに充てるのは事業者の努力義務と規定されており、確実な待遇改善につながらない、という批判も。
どれもこれも、もっともな批判です。
民主党も、批判を退け、与党を納得させられる答弁はできていなかったと思います。
しかし、法案を提出した民主党議員の答弁には、胸に響くものがありました。
「たしかにこの法案は完全ではない。批判もわかるが、そうであれば与党も対案を出し、どちらの法案がよいか、議論できるようにしてほしかった。修正して可決しよう、と与党が言ってくれるのであれば、修正に応ずる用意はある。何より、すでに介護業界は人手不足どころか、介護福祉士の養成施設への入学者が減少の一途をたどるという危機的状況にある。法案に問題があるからといって何もしなかったら、医療崩壊に続いて、介護崩壊が起こるのは目に見えている。党派を問わず、この危機的状況の認識は一致している。とにかく何か手を打たなくてはいけないではないか」。
しかし、こうした法案提出者の訴えに対しては、与党からは「我々もよく考え、努力していかなくてはならない」、桝添厚生労働大臣からは「賃上げだけでなく、魅力ある、働きやすい職場作りやキャリアアップなど、総合的な対策が必要」という、具体論のない答弁しかありませんでした。この問題をみんなでしっかり考えていきましょう、などと、国会でのんきに言っている段階はもうとっくに過ぎているというのに。
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