泥臭い介護現場をリアルに描く

高校を中退し、介護業界に飛び込んだ2人の男性が、介護現場のさまざまな現実とぶつかりながらも、それぞれの考える理想の介護を実現しようともがく姿を描いているマンガ『ヘルプマン』。高齢者介護の実態をリアルに描いていると評判で、たしか、数年前にテレビドラマ化もされていたように思います。今さらながら、読んでみました。

描かれているのは、介護業界、介護の現場の泥臭い現実。
認知症高齢者の在宅介護における困難さ。孤立がもたらす介護家族の絶望感。真摯に取り組むことで追い詰められ、起こる高齢者虐待。高齢者の性。ケアマネジャーの理想と現実など。その他、新予防給付など介護保険制度の問題点や限界、外国人介護士など、タイムリーなテーマもストーリーに盛り込まれています。

ヘルプマン
読み始めたら止まらず、9巻を一気に読んでしまった
主人公の2人はピュアではあるけれど、決して問題を簡単に解決できるスーパーマンではありません。一人は直情径行ですぐに突っ走る問題児。しかし、高齢者の抱える現実を理解し受け止めて、その人らしさを取り戻す介護を提供しようとする熱いハートの持ち主です。もう一人は冷静な理論家。介護現場の現実の醜さと向き合いながら、着実に理想を実現していこうとします。この対照的な2人は、違ったアプローチで理想を追いながら、時に連携して問題解決に取り組みます。2人が厳しい現実に直面して、立ちすくみ、悩み、腹を立てる姿には、共感する現職のかたも多いのではないかと思います。

このマンガ、私はてっきり介護業界や介護の実態に詳しいかたが原作を書いていると思っていました。しかし、作画する漫画家の方が資料を読みこなしてストーリー展開しているとのこと。ちょっと驚きました。いまの介護現場が抱えているさまざまな矛盾や問題点を、実にわかりやすく描いていると感じたからです。

そもそも、連載を開始したのはまだ介護保険制度開始4年目の2003年。このようなマンガをよく連載しようという気持ちになられたと思いますし、そして、よく受け入れられたなぁと思います。掲載している『イブニング』誌はたしか若いビジネスマン向けのコミック誌。有名なビジネスマンガ『ヤング島耕作』などと並んで掲載されているこのマンガが受け入れられていることに、介護の普遍化が進んだことを感じます。

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