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介護業界の労働実態はどうなってる?・2

介護労働安定センターが2006年度に行った調査をもとにした介護の現場の実態についての考察2回目。高い離職率、低い賃金など、厳しい実態を紹介します。

執筆者:宮下 公美子

介護労働安定センターが2006年度、介護労働者約1万2000人に行った調査をもとにした、介護労働の現場実態についての考察2回目。前編である1回目は、介護事業所と就労者の全体像について紹介しました。後編である今回は、離職率や賃金などについて、調査結果を詳しく見てみます。

調査対象 全国の介護保険法で指定された介護サービス事業を実施する事業所の中から無作為に約1/2の事業所(37,456事業所)を抽出。回収率32%。
調査期間 平成18年9月26日から10月31日

◆INDEX◆
1P目>>【施設では1年で1/4の職員が入れ替わる】
【年間に10人中6人が退職する認知症のデイ】
2P目>>【30代、年収370万円が破格、という実態】
【登録ヘルパーは時給の見直しなし?】
3P目>>【ヘルパーの移動、研修時間等の賃金未払いの事業所が多数!】

施設では1年で1/4の職員が入れ替わる

詳しい調査内容を見ていて、まず気になったのは、1年間の離職率
1年間の離職率は、離職者数÷前年8月31日時点の在籍者数×100で計算しています。

この調査対象は介護職員訪問介護員だけですが、2職種合わせた年間離職率は20.3%。職場の仲間が、年間に5人に1人辞めていく計算になります。離職者のうち、就労1年未満で辞めている人は42.5%、1年以上3年未満で辞めている人は38.3%。つまり1年間に辞めていく人のうち、8割以上が3年勤めていない人たちだというわけです。こうしてデータで見ると、離職のペースの早さに改めて驚かされますが、現場で働いているみなさんは、それを肌で感じていることでしょう。

中でも、離職率が高いのは「介護職員」。正社員こそ、1年間の離職率は21.7%ですが、非正社員は27.3%。1年で1/4の職員が入れ替わってしまうわけで、介護を受ける利用者にとっては、顔を覚えたと思ったら辞めてしまう、という感じ。落ち着いて介護を受けられる環境とは言えず、負担だろうなあと思います。

この「介護職員」のうち、非正社員は就労1年未満で辞める人が55.9%、就労1年以上3年未満で辞める人が32.8%。なんと、離職者中、9割近くが3年たたないうち辞めている人たちです。勤めはじめても、3年続かない人が多いと言うことでしょうか。

年間に10人中6人が退職する認知症のデイ

「介護職員」の内容を細かく見ると、離職率が高いのは認知症対応型デイサービス。1年間の離職率は62.1%で、離職者のうち、73.6%は就労して1年たっていない人たちです。同じように、短期間で辞めていく人が多い職場には、有料老人ホームやケアハウスなどの特定施設入居者生活介護の65.5%があります。働き始めてみたものの、考えていた職場と違う、と感じたのでしょうか。それとも、想像以上に仕事がつらかったのでしょうか。

短期間で転職を繰り返すと、雇用者側の明白な落ち度を理由とした退職でない限り、経歴上はどうしてもマイナス評価になります。そのため、前職以上の待遇、知名度、ステイタスを持つ職場への転職はどんどん難しくなっていくもの。こうして短期間で辞めた人たちは、どうされているのか。落ち着ける職場と巡り会えているといいのですが……。

>>次のページは【30代、年収370万円が破格、という実態】【登録ヘルパーは時給の見直しなし?】
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