気ぜわしさを見せない努力
お迎え、バイタルチェック、入浴、午前のレクリエーション、昼食、午後のレクリエーション、おやつ、そして、送り出し。デイサービスは、限られた時間内に、限られた人数で、こうした決められたサービスを提供しなくてはなりません。決められたサービスをこなすのに精一杯というデイも多い中、このデイでは、なぜ、マナーや利用者のお茶の好みにまで気を配る余裕があるのでしょうか。
一つ言えるのは、段取りの良さ。
このデイでは、時間ごとにやるべきこととその注意事項を一覧にしたタイムスケジュールがあります。また、フロア担当、入浴の外介助担当、中介助担当の時間ごとの役割分担も一覧表になっていました。これを見ると、どの時間帯に誰が何をしなくてはならないかが一目でわかり、同時並行で他のスタッフが何をしているかも把握できます。
午後のレクの前にみんなで転倒予防体操。スタッフはゆっくりとした語り口で説明していた |
このデイを取材する日、私はエプロン持参で訪れました。テーブルを拭いたり、お茶を配ったり、利用者の話し相手をしたり。スタッフの仕事を少しだけ手伝いながら6時間ほど滞在し、取材を行いました。長い時間を利用者やスタッフとともに過ごしたら、どう感じるだろう。そう思ったからです。
そして感じたのは、これまでに訪れたことがあるどのデイともちがう、ゆったりした空気感でした。この空気感はどこからくるのだろう。あとから思い返してみて、思い当たったのはスタッフの話し方、歩くスピード、表情でした。大き過ぎも小さ過ぎもしない声。少しゆっくりした話し方、歩き方。おだやかな表情。
スタッフ全員が、ではなかったかもしれません。
常にゆっくり、ではなかったかもしれません。
しかし印象として残っているのは、ゆったり感。
それが私には心地よかったのです。
もちろん、たった1日、6時間いただけでこのデイのすべてがわかるわけではありません。「スタッフ全員が」、また、「常にゆっくり」ではなかったとしたら、そこはさらに修正が必要かもしれません。しかし少なくともこのデイは、どうありたいかがはっきりしている。そう感じました。
>>次は「ほっとできる場所をつくりたい」