2/2 介護福祉士取得条件が厳しくなる [介護・福祉業界で働く・転職する] All About

実務経験者も養成課程受講へ

次に、3年以上の実務経験者が介護福祉士を取得するとき。
これも、実務経験だけでなく、養成校に半年以上通うか、通信講座を1年以上受講することを条件とすることになりそうです。独学で勉強してきたのを、養成校でしっかり学ぶ、と考えればそう悪い制度でもないかもしれませんが、やはり働きながらの通学はたいへんだと思います。

このほか、福祉系高校での履修時間も1190時間から養成校と同じく1800時間程度まで増やすそうです。つまり、4年制以上の課程にするか、あるいは1年以上の専攻科を加えて1800時間を履修し、卒業後に国家試験を受けることになります。この場合、養成施設卒と同様、実技試験、介護技術講習は受ける必要がありません。

現行のまま、1190時間とするのであれば、卒業後、9か月以上の実務経験を積んでから国家試験を受験ということになります。この場合は、実技試験か介護技術講習を受ける必要があります。

また、2006年度後半からスタートする予定の「介護職員基礎研修」を修了した場合は、実務経験を2年積むと、国家試験を受験することができます。この場合は、実技試験か介護技術講習を受ける必要があります。

※2007年3月に国会に上程された「社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律案」には、上記、「介護職員基礎研修修了者は実務経験2年以上で介護福祉士国家試験を受験できる」という案は、盛り込まれませんでした。このまま法改正が進んだ場合、介護職員基礎研修修了者が介護福祉士国家試験を受験する際、特別な配慮はなく、無資格者やヘルパー研修修了者と同様に、2年以上の養成施設修了、あるいは3年以上の実務経験＋600時間の講習修了が必要となります。（2007年3月27日加筆）

↓平成19(2007)年1月18日加筆
※平成18(2006)年12月に発表された「介護福祉士制度及び社会福祉士制度のあり方に関する意見」では、3年以上の実務経験者が介護福祉士国家試験の受験資格を得るために受ける養成課程は600時間程度のものであるべきとの案が示されました。この記事を書いた時点では、まさかそんなにボリュームのあるものとは思いもよらず、「そう悪い制度でもないかも」などのんきなことを書いてしまいました。

新しくスタートが決まった介護職員基礎研修は、無資格未経験から受講すると研修時間は500時間。介護職員基礎研修は修了後2年以上の実務経験を積めば介護福祉士国家試験受験資格が得られますから、実務経験3年以上に加えて600時間もの養成課程修了を必要とする改定案は、かなり厳しいものだと言えます。ただ、改定案には、この養成課程修了により、実技試験あるいは介護技術講習会の受講は免除にするべきと書かれているのがせめてもの救いでしょうか。※

早ければ2009年度から実施！？

この案は、2006年末までに一定のとりまとめを行うことをめどに、検討が続けられます。そして2007年の通常国会に提出される予定で、可決されたら、2，3年後から実施される予定です。
つまり、早ければ2009年度から実施！？　そんなに順調に進むとは思えませんが。また、実施されても、試験なしで資格種畜できると思って専門学校に入学した人に試験が課されるというようなことがないよう、しばらくは経過措置がとられることになるようです。

介護福祉士という国家資格が1987年に新たに作られた10年後の1997年に介護保険法が成立し、さらにその10年後の2007年に介護福祉士養成制度の見直し案が国会に提出されることになります。考えてみると、わずか20年の間に、介護の仕事は急速に拡大し、発展し、社会的認知度も上がり、さまざまな問題が明らかになってきたと言えます。

介護福祉士の資格取得制度は、前述のように、さまざまなルートがあり、ルートによって、あるいは同じルート内でもたとえば養成校の養成方法によって、取得者のレベルにばらつきがあると言われてきました。

今回の改正には、レベルをある程度一定にしようという意図、そして、一方で多様な取得ルートは残していこうという意図があり、それはとても評価できると思います。

改正実施後も、10年など、定期的にカリキュラム、シラバスについての見直しを行うことになるようです。本当はもう少し短いスパンで見直しがあるといいのかもしれませんが。

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