介護・福祉業界で働く・転職する/介護・福祉業界の仕事

気をつけたい、援助職の燃えつきからのうつ

他者をケアし、援助する介護・福祉職は、ケアに注力しすぎて自分自身のエネルギーが枯渇してしまうことが少なくありません。対人援助職に多い「燃えつき」からのうつについて考えます。

執筆者:宮下 公美子

介護職、ヘルパー、ケアマネジャー、ソーシャルワーカーなど、他者の世話をし、ケアする介護・福祉職。こうした対人援助の仕事についている人は、他者のケアに力を注いでいるうちに、気がついたら自分自身を支えるエネルギーが空っぽになり、「燃えつき症候群」になることがあります。そしてそこから、うつ状態に陥ってしまうことも。

対人援助職だけでなく、家族の介護を担っている人、アルコールなどの依存症の家族を抱えてその対応に悩んでいる人など、困難な状況の中で懸命に問題に取り組んでいる人も、燃えつきの危険をはらんでいます。燃えつき、燃えつきからのうつにならないためにはどうすればいいのか? 原因と対処法について考えます。

◆INDEX◆
1P目>>【起き上がれなくなった援助職】
2P目>>【どうして燃えつきてしまうのか?】
3P目>>【燃えつきないためには?】

起き上がれなくなった援助職

仕事に理想を持ち、やりがいを感じて、対象者への援助に誠実に取り組んでいるAさん。
いつも全力投球で、どんなにたいへんな仕事から逃げません。Aさんは、多くの仕事を抱えて、朝は誰よりも早く来て、夜は誰よりも遅くまで仕事をしています。休日出勤もしばしばしています。

仕事

人から気遣われるとどぎまぎし、振り払ってしまう。そして仕事に一人でのめり込む
このままでは体をこわさないかと心配した同僚が、「ちょっと休んだら?」「仕事を手伝おうか?」と声をかけると、「とんでもない! 何も心配はいらないし、私の仕事はたいへんなケースが多いから、他の人には任せられないよ」とけんもほろろ。声をかけにくくなってしまいました。

そんなある日、援助の対象者と話していたAさんが、突然、激昂して叫んでいる声がフロアに響き渡りました。「私がこれほどあなたのためを思って言っているのに、どうしてあなたは私の言うことを聞かないんですか! だから事態が改善しないんですよ!」

驚いた上司が間に入り、その場は治まりましたが、Aさんの興奮状態は続きます。「私は一生懸命支援しているのに、なぜ止めるんです!?」と上司に食ってかかります。上司が、「ちょっと疲れているみたいだから、休んだらどうか」と言うと、「私は疲れてなんかいない! 誰も私のことをわかっていない!」と叫んで、出て行ってしまいました。

翌日から、Aさんは出勤してこなくなりました。
朝、いつもどおり起きようと思っても起きられないのです。体が重く、起き上がる気力も湧いてきません。
「なぜ……?」。

Aさんは誰の力も借りず、自分の限界を超えて仕事をし続けてきたために、自分自身を動かすエネルギーすら失い、「燃えつき」てしまっていたのです。

あなたの周りにAさんのような人はいませんか?
あなたは、Aさんに似ていませんか?

>>次のページは【どうして燃えつきてしまうのか?】
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