対人援助職だけでなく、家族の介護を担っている人、アルコールなどの依存症の家族を抱えてその対応に悩んでいる人など、困難な状況の中で懸命に問題に取り組んでいる人も、燃えつきの危険をはらんでいます。燃えつき、燃えつきからのうつにならないためにはどうすればいいのか? 原因と対処法について考えます。
◆INDEX◆
1P目>>【起き上がれなくなった援助職】
2P目>>【どうして燃えつきてしまうのか?】
3P目>>【燃えつきないためには?】
起き上がれなくなった援助職
仕事に理想を持ち、やりがいを感じて、対象者への援助に誠実に取り組んでいるAさん。いつも全力投球で、どんなにたいへんな仕事から逃げません。Aさんは、多くの仕事を抱えて、朝は誰よりも早く来て、夜は誰よりも遅くまで仕事をしています。休日出勤もしばしばしています。
人から気遣われるとどぎまぎし、振り払ってしまう。そして仕事に一人でのめり込む |
そんなある日、援助の対象者と話していたAさんが、突然、激昂して叫んでいる声がフロアに響き渡りました。「私がこれほどあなたのためを思って言っているのに、どうしてあなたは私の言うことを聞かないんですか! だから事態が改善しないんですよ!」
驚いた上司が間に入り、その場は治まりましたが、Aさんの興奮状態は続きます。「私は一生懸命支援しているのに、なぜ止めるんです!?」と上司に食ってかかります。上司が、「ちょっと疲れているみたいだから、休んだらどうか」と言うと、「私は疲れてなんかいない! 誰も私のことをわかっていない!」と叫んで、出て行ってしまいました。
翌日から、Aさんは出勤してこなくなりました。
朝、いつもどおり起きようと思っても起きられないのです。体が重く、起き上がる気力も湧いてきません。
「なぜ……?」。
Aさんは誰の力も借りず、自分の限界を超えて仕事をし続けてきたために、自分自身を動かすエネルギーすら失い、「燃えつき」てしまっていたのです。
あなたの周りにAさんのような人はいませんか?
あなたは、Aさんに似ていませんか?
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