盲導犬訓練士教育に養成校誕生
観察力、推察力、論理的思考力、洞察力、コミュニケーション能力など、さまざまな能力が求められる盲導犬訓練士、そして盲導犬歩行指導員。これまでこの仕事に就こうと思ったら、研修生として盲導犬訓練施設に入職し、先輩からの口伝えでの教育によって学ぶ方法しかありませんでした。働きながら学ぶ研修生制度の頃はハードな毎日だったため、途中でリタイアする人も多かったとか。しかし訓練士学校ができて学びやすい環境が整い、リタイアする人はほとんどいなくなった |
盲導犬訓練士学校では、訓練実習やリハビリテーション実習などの実技だけでなく、盲導犬訓練についての理論、犬行動学、犬病学、栄養学などの「犬学」、関係法規、障害者福祉論などの一般教養といった座学の講義も行っています。必要に応じて外部講師を招いて講義も行い、受け入れる10名程度の学生に一定水準の教育を行う体制を整えています。
この訓練士学校では、2年間の基礎科を修了すると、財団法人日本盲導犬協会認定の「准盲導犬訓練士」資格が得られます。さらに専修科に進み、1年間の訓練を修了すると、ようやく財団法人日本盲導犬協会認定の「盲導犬訓練士」資格を得ることができます。
盲導犬訓練士養成学校の出願資格は、高等学校卒業程度以上の学力を有する者、年齢30歳程度までの者、心身共に健康な者。選考は、一般教養の筆記試験と入学願書等の書類審査による1次選考、盲導犬訓練士適性試験と集団面接による2次選考、最終面接によって行われ、例年10人以内の入学が決まります。平成18(2006)年度入学の第3期生は、男性6名、女性4名。学歴は高校卒3名、大学卒5名、専門学校卒2名。年齢は18歳~34歳で、平均年齢22.8歳でした。
盲導犬訓練士養成校はこの1校しかなく、他の盲導犬訓練施設ではいまも研修生として入職して、働きながら先輩について学ぶ形式。採用数も欠員補充程度で決して多くはありません。
全国で約7800人もの視覚障害者が盲導犬を待ち望んでいるのに対して、いま、日本全国で活躍している盲導犬はわずか1000頭程度。盲導犬訓練士になるのは決してたやすいことではありませんが、これから多くの訓練士が誕生し、盲導犬訓練に力を発揮してくれることを期待したいと思います。
>>次は盲導犬にまつわるこぼれ話