ガイド宮下のヘルパー2級講座受講日記も、いよいよ最終回。今回は、介護の現場実習の報告・パート2です。特別養護老人ホームでの施設介護実習と、単独型のデイサービス(通所介護)の現場見学。いろいろ考えました。
このシリーズのバックナンバー
まだ読んでない方は読んでみてね!
■受講日記●1【テキストってこんなに分厚いの?】
■受講日記●2【テキスト、読み飽きた~!】
■受講日記●3【いよいよスクーリング!】
■受講日記●4【実技演習が始まった!】
■受講日記●5【やったそばから忘れていく~】
■受講日記●6【在宅介護は学びの宝庫】
■受講日記●最終回【施設のよさ、在宅のよさ】
3月10日(月)
介護のアンビバレンツ
前週末の在宅の実習に続き、今度は特別養護老人ホームで2日間の現場実習。1日目、ジャージに着替えて集合すると、まずは事務の方から実習にあたっての心構え、実習内容などについて、丁寧な説明があった。そのあとは館内を案内してくれて、その後、いよいよ実習だ。
1日目、私が実習に入ったのは、軽い痴呆のある入所者が多いフロア。ここで、お茶出しをしたり、食事介助をしたり。その合間に、おむつ交換をやらせてもらったり、ベッドから車イスへの移乗をやらせてもらったりもした。
これがもう、難しい! 習ったはずなのに、いざやろうと思うと頭は真っ白。
どれ一つうまくいかなかった……(涙)。
私の指導担当としていろいろ教えてくれたのは、やさしそうな20代の男性。言葉数少なく、淡々と、そしてテキパキと仕事を片づけていく。この日は急に欠勤者が出て、てんてこ舞いだったそう。すべての予定が押してしまって、午前も午後もレクはなし。臥床介助や排泄介助での部屋から部屋への移動はずっと速足。しかも、入所者からのコールが、ひっきりなしに彼の持つPHSに転送されてきていた。
おむつ交換にしても、他にコールして待っている人もいるわけで、のんびりやるわけにはいかない。決して手荒ではなく、雑でもなく、しかし手早い作業には、さすが、という思いがした。しかし、正直言って、それが時として機械的に感じられることもあった。早く、しかし機械的ではなく、って難しい!
また、考えてしまったのは、こんな介助。
お茶の時間、痴呆があり、声をかけてもまったく無反応の女性がいた。吸い飲みを口元に持っていってもダメ。この女性には、職員の方が「○○さん、いろはにほへと、はい、次は?」と声をかけ、「ちりぬる……」と答えた瞬間に、吸い飲みを口に挿し込み、お茶を飲ませていた。そのほか、名字を呼んで下の名前を答えてもらったり、歌を歌って続きを歌ってもらったりしながら、口を開けさせる。
なるほど、そうやって飲ませればいいのかぁ、とひたすら感心。水分摂取は高齢者にとってはとても大事なこと。なんとしてもある程度は飲んでもらわなければならないわけだから、この方法は有効だと思った。しかし、翌日同じ方の介助をしたとき、この方法で私も飲ませてみたら、吸い飲みの3/4くらい飲んだら、ぱたりと口を閉ざし、どう声掛けをしても口を開けてくれなくなった。
私は、飲ませることばかりに気をとられ、この方がどういう思いでいるのか、ということを考える余裕がなかった。そのことにハタと気づいて、猛烈に自己嫌悪。これって、現状では一番いい飲ませ方なのだろうけれど、なんだかだまし討ちみたいで複雑な気持ちになった。
最初に事務の方が、介護にはアンビバレンツ(あちらを立てればこちらが立たない、というような意味)がつきもの、と言っていたけれど、本当にそうだなと思った。水分を摂ってもらわなければ、場合によっては命にも関わる。しかし、この飲ませ方はいかがなものか。現職の方々、こういう場面、どう考えて介助にあたっているのか、お聞きしてみたいです。[よかったら、こちら<careerwelfare@im.allabout.co.jp>へメールを!]
ちなみのこの施設の方は、現状ではこれが有効だけど、ベストの方法だとは思っていない。もっといい接し方を探っていきたい、ということでした。
次は施設介護の向き、不向き