栄養の専門家として身近な存在になりたい
栄養士と気軽に相談ができることは、施設の特徴としてアピールにもなる。 |
特養での栄養士業務の魅力ややりがい、勉強になることなどを聞かせていただけますか?
秋山さん:
利用者様に毎日会うことで、栄養の必要性を日々教えてもらっているので、ありがたいことだと思っています。
というのは先日も喫食不良による低栄養になった方が浮腫を起こしていて、「低栄養の浮腫」を間近で見せていただきました。そこで提供する栄養量と食事形態を介護や看護のスタッフと検討し、食事量を増やして栄養ケアプランをこまめに調整した結果、食事摂取量が増えてみるみる元気になって……。全介助で食べていたのに、このような栄養ケアの結果、自力で食べられるようになった方が何人もいるんです。
そういう変化を日々見せてもらえるのは非常に勉強になりますし、やりがいを感じています。
ガイド:
それはすごいですね。栄養管理の取り組みで、たくさんの方に元気になってもらえますね。
秋山さん:
いつも感動しています。
病院に勤めていたときは治療のため病人を受け入れ、治す側にいたわけですが、現在は利用者様の住まいにあたる施設にいるので、病気にならないようにと考えるようになりました。利用者様の家である施設で、生き生きしてもらわなくちゃ困ると思っているんです。
ガイド:
秋山さんは栄養士としての使命感が強いように感じますが…?
秋山さん:
管理栄養士が施設に居ることで、利用者様は1人1日12円の「管理栄養士配置加算」を支払っています。私はそれに値する仕事を、利用者様に還元したいと思っています。
日本では、給食業務に栄養学が必要なため栄養士がつくられました。アメリカの栄養士は、対面サービスの現場で栄養管理業務を中心に活躍しています。これからの日本の栄養士は給食業務中心にならずに、利用者や患者のところに出向いて、栄養管理ができる実力を身に付けなければならないと思っています。
デイサービスのスタッフから、「自宅で家族に聞けないし、病気ではないのに病院に行くのはイヤ、けれども食事のことを栄養士に相談したい人はたくさんいるのでは? 」と言われました。実際、講話のときに、普段は無口な方や便秘で悩んでいる方などが、熱心に質問していた様子をスタッフが見てびっくりしていたんです。私は栄養士として人々の身近な存在でありたいと思っているんですよ。
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